クアンスティータ――
 神話の時代には産まれる事がなかったとされる最強の化獣(ばけもの)だ。
 神話の時代にクアンスティータが産まれていたとしたら、今の歴史は無かったとされている。
 神や悪魔の時代も当然来なかったとされていて、女神御であるエテレイン様はこれを防ぐために、風の惑星ウェントスで冒険をしている芦柄 吟侍(あしがら ぎんじ)君に接触しようとしていたらしい。
 結局、義弟(おとうと)の芦柄 導造(あしがら どうぞう)君と間違えて、この火の惑星イグニスに来ていたんだけど、結局、何も出来ずにクアンスティータの誕生を迎えるという事になる。
 【死の回収者ファイシャ】何て言う想像だにしなかった強大過ぎる敵を相手にする事になって戦々恐々としていた私達だけど、クアンスティータに比べれば遙かにマシ。
 クアンスティータと戦う事に比べれば、【ファイシャ】なんてどれだけ居てもどうって事ないようにさえ思える。
 現に【ファイシャ】は病的にまでクアンスティータを恐れていた。
 それだけ、クアンスティータの誕生という事は何から何まで変わってしまう極端に大きな事だ。
 神や悪魔でさえもその化獣の誕生を極端に恐れている。
 クアンスティータが産まれるとしたら、もはや【ファイシャ】どころではない。
 逃げなくてはと思うけど、何処に逃げれば良いのか皆目検討もつかない。
 どこに行こうがどうしようもないという諦めの気持ちがわき出て来てしまう。
 エテレイン様の表情を見るとガチガチガチ……と震えているのが解る。
 女神御が震えるってどれだけの事よ、と私は思ってしまう。
 とにかく、私も落ち着きたいけど、冷静になればなるほど、恐怖が増しそうなので、色々気が紛れそうな事を探してどうにかしようという気持ちでいっぱいだった。
「く、クアンスティータって本当に居るの?」
 導造君が私に尋ねてくる。