辺りに緊張が走る。
 ジリジリと間合いを詰めていくカヂ。
 フォールはその間合いを詰められた分、引いていた。
 まだ、自分の間合いではカヂにやられると思っているのだ。
 それでもカヂは間合いを詰めてくる。
 フォールが瞬きをした瞬間、動く。
 カヂによる猛攻が始まる。
 カヂの攻撃の影響で、空間が歪む。
 カヂに空間を歪める能力はない。
 カヂのパワーに耐えきれず、空間の方が勝手に歪みだしたのだ。
 ギャリリリンッ
 という音がしたと思うと、二名の間合いが広がる。
 見ると、フォールの土刀がカヂの腕に傷をつけていた。
「………」
 初めての傷をじっと眺めるカヂ。
 傷つけられたのが初めてなので、多少驚いたようだ。
 だが、カヂの強靱な精神は初めての事態にも動揺することはなかった。
 そうなったらそうなったで傷を舐めた。
 すると、傷ついた腕がすぐに元通りになった。
 傷つけられたくらいで動揺するような存在が恐れられている訳はない。
 この精神力の強さもカヂという存在、ヂグウ族という存在の強さを物語っていた。
 カヂの劣勢にも他のヂグウ族が助けに入るという姿勢はない。
 カヂであれば問題ないという確信があるからだろう。
 再び身構える両者。
 再び緊張が走る。