「要するに、二人とも、それが欲しいのね?」
「な、何バカな事言ってんだよ、リノン」
「そそそ、そうだよ、リノン様、僕は仕方なくだねぇ」
「解りやすっ、欲けりゃ欲しいと言えば良いじゃない」
「べ、別に欲しくなんか……ねぇよ」
「ぼ、僕だっていらないんだけど、仕方ないから」
「いや、これは年長者として、オレがだなぁ」
「いやいや、弟としてはにーちゃんの手を煩わすのは」
「めんどくさい姉弟ね。いらないなら燃やしてあげるわ。ホイッ天罰」
 ピシャー!!
 あぁ、マイスイートメモリーがぁ……
「お礼は良いわよ。これがあると話が全然進まないから、何よ、二人とも、その恨みがましい目は」
 リノン様はそれだけ言うと僕の部屋を出て行った。
 後には途方に暮れた僕とにーちゃんが取り残された。
 こうして、小田桐家の夜は更けていった。

 追伸――
 さっき飛ばしてしまったけど、僕とにーちゃんの二人の妹の話を付け加えると一人は中学生の眞郷(まさと)と小学生の鮎夢(あゆむ)がいる。
 侑輝、眞郷、鮎夢……そう、我が家の女性陣はみんな男性名と間違われるような名前でもある。
 これはとーちゃんが自分の娘に変な虫がつかないようにわざと男と間違えるような名前をつけて、遠ざける意味を込めたみたいだ。
 とーちゃんも女好きだけど、自分の娘が他の男に取られるのが嫌なみたいだからね。
 その気持ち解るよ。
 僕もにーちゃんを他の男に取られたくないからね。
 こんな一家だけど、僕は幸せだな。
 ねーちゃんと一つ屋根の下に暮らせて。
 妹達もねーちゃんみたいに育ってくれたら嬉しいんだけどね。