序章 私は蛇遣曇天です。


「ぜぇはぁ……」
 真夜中の二時、僕は息も絶え絶えにあるものを運んでいる。
 全ては僕の野望のため……
「しっかりしろ流星(りゅうせい)、それでも男か」
「う、うん、ねーちゃん、僕、頑張る」
「ねーちゃんじゃない、オレの事はにーちゃんと呼べといつも言ってるだろう」
 にーちゃん(兄)――僕にとってはねーちゃん(姉)なんだけど――彼女はいわゆる女の子が好きな男性の心を持った女の子なんだよね。
 にーちゃんには野望があって、それが僕の野望とぴったり一致したからこんな面倒くさい事をしているんだよね。
 野望の事は後でって事にして、面倒くさい事ってのは今、立像を運んで移動している事なんだよね。
 この星、乳球(ちちきゅう)では、曇天信仰(どんてんしんこう)がある。
 世の中の自然の猛威を司る十二曇天を崇めてるんだ。