例えば、兎を描いたとする。
 普通に描いて消したら兎は1匹しか出てこないが、兎×3=Xと書けば、3匹の兎が召喚される。
 もちろん、同時操作という事になるので、みらちゃんの想像力が及ぶ範囲でしか数は増やせないが、それでもいっぺんに複数の召喚も可能となる。
 また、オタマジャクシは描けるけど蛙が描けなかった場合などは、オタマジャクシを描いて、オタマジャクシの大人は?という文章を書けば、オタマジャクシではなく蛙が召喚される事になる。
 つまり、文章をつけることにより、足りていない想像力を補える特性を持つという事になる。
 想像力が他のレギュラーより、少し劣るみらちゃんにとっては、これ以上ないくらい合っているICと言えるだろう。
 このICを見ていると解る。
 彼女は決して人数合わせのメンバーじゃない。
 立派な戦力の一人として申し分ない。
 私はみらちゃんの活躍にも期待した。
 対するアダム君のICは、【セクシーお姉さん】だ。
 ちょっと、この子何考えているのかしら?
 こっちが恥ずかしくなるようなデザインのICになっているわ。
 これはみらちゃんも気の毒。
 見るからに嫌そうな表情を浮かべている。
 年頃の女の子にとっては、こういうのはあまりいい顔出来ないのだろう。
 セクハラじゃないのこれ?
 私は審判に抗議した。
 競技は一時中断されたけど、残念ながら、相手のICは認められてしまった。
 ギリギリではあるが、わいせつ物陳列という事にはならないらしい。
 私は相手のICを認める代わりに対戦相手のみらちゃんを獣馬君に変えて貰えないかと申し出た。
 が、公式で順番を決めた後での順番変更は認められないらしい。
 みらちゃんが、
「監督、私、やります」
 と言ってくれたけど、同じ女として、アダム君のICには嫌悪感を覚えるわね。
 対戦が始まった。
 結果はみらちゃんが瞬殺した。
 よっぽど腹に据えかねていたのだろう。
 女の敵、アダム君のICをみらちゃんの【黒板戦士チョーク】の赤と白の二本のチョークが貫いた。
 結果的に、みらちゃんは能力を使わなかった。
 力押しで勝ってしまった。
 勝ったときの、
「出直してきなさい」
 という台詞はかっこよかった。
 私が言いたかったくらいだ。