「ふん。今まではお前達の実力程度で本気を出すまでもないと思っていたからだ」
「その油断が命取りになるぞ」
「安心しろ。残る3名こそ、私の本当の意味での切り札だ。お前達に勝ち目は無い。万が一にもな」
「じゃあ、今度こそ期待して良いんだな?」
「そのバカにした口調もすぐに黙らせてやる」
「解った、解った。で?次はどんな奴なんだ?」
「残る3名の起動には主である私の代償が必要なんでな。だから、動かしたくはなかった。たかだか商売なんかのために私が代償などを払いたくは無かったんでな。だが、お前達は私を本気で怒らせた。だから、代償を支払ってでもお前達を倒してやる」
「なるほどね。代償を払いたくなかったから、アーウン四兄弟に好き勝手を許してたって訳か。まぁ、誰だって、傷つくのは好きじゃねぇとは思うけどさ。安全な位置から見下ろしているだけじゃ、本当に欲しいものは手に入らねぇと思うぜ」
「黙れ、……さぁ、動き出せ、私の貴重な血液を使ってやるんだ。必ず勝てよベリーフィット」
 そう言うとゲスデゲスは小さなナイフで、親指をちょっと切って一滴、運ばれて来たぐるぐる包帯巻きのミイラのようなものに垂らした。
 吟侍は血液一滴を惜しんでいたのかとちょっと呆れたが、血液を吸って立ち上がったベリーフィットと呼ばれる者の気配を察知して警戒した。
 ゲスデゲスが切り札と言うのも無理はない。
 恐ろしく高い気を持っている。
 血を吸うから吸血鬼――という訳ではない。
 血はあくまでもゲスデゲスがベリーフィットと血縁関係になるための儀式に過ぎない。
 なので、ゲスデゲスの血液がベリーフィットの栄養になるかと言うと答えはノーである。
 ゲスデゲスの血液に存在の力を高める様な成分は含まれていない。
 ミイラのようだった肉体に膨らみが出てきた。
 ベリーフィットは今までの選手と違い、女性だった。
 そう言えば、ゲスデゲスは、フェンディナを愛人にしたがっていた。
 大方、スケベ心を出して、収拾したら、それがたまたまゲスデゲスの切り札となるような存在だったということなのだろう。