もちろん、これは演技だ。
 彼はチャンスを狙っている。
 ゲスデゲスは、
「何を言っているのかな?」
 と言った。
 普段で有れば、文句を言う者が居たらその場で射殺命令でも出していたところだが、フェンディナが美しいので、話そうとスケベ心を出したのだ。
「マザー神樹は充命人さん達にとっては生命を維持するのに必要なものなんです。マザー神樹を刈り取るという事はその人達の命を奪う事と同じ事です」
 フェンディナは必死に訴えかける。
 だが、このゲスデゲスという人物は生まれ持っての悪党とも言うべき心の持ち主だ。
 充命人達が死のうがなんだろうが、彼の心は全く痛まない。
 そんな事よりも、どうにかして、フェンディナを自分の愛人にしようと思考していた。
「こっちも商売なんでね。ただで、伐採をやめろと言われてやめる訳にはいかないのだよ。それなりの見返りというものがないとね」
 ゲスな笑みを浮かべるゲスデゲス。
「どうすれば良いのですか?」
「そうですね……賭けでもしましょうか。そこの後ろに居る男が私が用意する戦士10名に勝ったら、考えなくもないですね。もし、その男が負けたらあなたは私の愛人になるというのであれば良いですよ。いひゃひゃひゃひゃ……」
 後ろに居る男とは吟侍の事を指す。
 気弱そうに見える吟侍を殺して残ったフェンディナを愛人にしようという魂胆だ。
 何処までもゲスな考えだった。