間一髪──
 攻撃が当たるその一瞬前にかろうじて交わし、なおかつ、蛍光塗料をその気配に塗る。
 気配の一つは目視できるようになった。
 その蛍光塗料は特別性だ。
 水で洗ったくらいではまず取れない。
 塗られた相手には、カミーロに挑んで来るか撤退するかを選択してもらう事になる。
 目視できる敵はしばらく動きが止まり、やがて、再び動き出す。
 どうやら、挑んで来るつもりらしい。
 自らを囮として、他の二つの気配の盾にでもなるつもりなのだろう。
 どのみち、敵には、一日しか時間が与えられていない。
 結果を出さなければ、一日で、幻は消えてしまうのだから。
 敵もそれが解っているからこそ、勝負を選択したのだろう。
 目視できる敵は左右に飛びながら近づいて来る。
 フェイントをかけているつもりなのだろう。
 カミーロもそれは解っている。
 わかっているからこそ、更に集中した。
 このフェイントは囮。
 かならず、死角から残る二つの気配が襲い掛かってくる。
 光の届かないこの状態では光の屈折による幻はカミーロには作れない。
 姿をぼやかすというよりは、敵の動きを読んで真っ向勝負。
 それがカミーロの選択だった。
 目視できる敵から、敵が黒い服などを来ているのが解った。
 暗い上にさらに黒いかっこうをされていてはますます見えない。
 だが、見えないなら見えないで、目を頼りにしなければすむ事だ。
 蛍光塗料を塗ったのはカミーロにとっての囮だ。
 蛍光塗料はあくまでも敵の姿を一旦、確認したかっただけ。
 その蛍光塗料をあてに目で追うつもりは全くない。
 敵は、カミーロが蛍光塗料を塗られた相手に集中していると考えて、塗られていない二名が攻撃のかなめとして連携してくるはず。
 だが、カミーロは囮役に興味はない。
 あくまでもその後ろに隠れている二つの影に意識を集中させていた。
 油断して攻撃して来たところを逆に叩く。
 それがカミーロの考えだった。
 カミーロの読みは見事的中した。