カミーロの目であれば、表情の細かな所まで確認出来る距離だ。
 だが、コーサンの方もようやくカミーロの残す微かな気配に気づいたようだ。
 コーサンが身構えた。
 慌てる形で幻影の実体化を始める。
 コーサンが実体化する幻影はあらかじめ調べている。
 アームベルトを持つ強者。
 それが、この地に記憶された存在だ。
 そいつを倒せば、後は彼女と向き合える。
 カミーロは不思議な高揚感を得た。
 絶好調――
 だが、計算違いが生じた。
 アームベルト保持者の実力を見誤っていた。
「うぃぃぃあぁぁぁぁぁぁぁぁっ……」
 雄叫びを上げて突っ込んでくるアームベルト保持者。
 少なくともフィンガーベルト保持者達とはレベルが全く違っていた。
 カミーロはあっという間に吹き飛ばされた。
 咄嗟に光の防壁を何重にもはりめぐしたが、一発で全ての防壁が破壊された。
 まともにパワーでは立ち向かえない程の力の差を感じた。
 幸い、何とか防壁がクッションの役目を果たしてくれたので、カミーロにダメージはほぼ無い。
 だが、この隙にコーサンは別の地へと逃げてしまった。
 せっかくのチャンスをイージーミスで逃がしてしまった。
 こんな事ならカミーロの方からもっと近づいておくんだった。
 ――と後から後悔しても遅い。
 まずは、このアームベルトの戦士を何とかしなくてはコーサンを追えない。
 この戦士の情報は地の記憶から解っている。
 この戦士の名前はゾイズマ。
 この地でトップになった事のある戦士だ。