その強敵さえ時間をかけずに倒せれば、彼女はもうすぐだという事になる。
 カミーロの予想通り、しばらく、コーサンはなりを潜めた。
 カミーロもその地その地に残された記憶を読み取る力はあるので、彼の方でも様々な地を渡り歩き、彼女が選びそうな地を探す。
 運良く、彼女が見つけそうな強敵の記憶の残る地に先回り出来ればそこで、彼女を迎え撃つ事も出来る。
 元恋人との命を賭けたかくれんぼは熾烈な頭脳戦となった。
 如何に、相手の心を読み取り、先回り出来るかがこの戦略を勝利へと導くだろう。
 探しに探し回り、カミーロはコーサンが選びそうな強者の記憶の残る地を見つけることが出来た。
 だが、この地をコーサンが見つけるかどうかは解らない。
 もうすでに見つけて囮の地を探しているかも知れない。
 それとも、また別の地にもっと良い候補がいるのかも知れない。
 グラン・ベルトの伝説がはっきりとは解らない以上、これは勘に頼るしかない。
 スタート地点からはゆうに百キロ以上は進んだだろうか。
 そろそろ、強者の集まる地が増えていてもおかしくはない。
 見つけたとは言ってもカミーロは一つだけ発見したに過ぎない。
 ここだけだという保証はない。
 待っていたら、コーサンは遠くに行ってしまうかも知れない。
 だからといってせっかく見つけた強者の記憶が残る地を離れるのはチャンスかも知れない場所を逃す事になるかも知れない。
 不安からか、神形であるはずのカミーロから汗のようなものが出てくる。
 これは、体内の水分が気候に反応して出てきたものなのかそれとも気の焦りからくるものなのかは解らない。
 だが、不安に思って居ることは変わらない。