せめて、いや、願わくば相打ちというのが彼の理想だった。
 記憶を読む力があるカミーロにとっては、囮とは言え、コーサンが力を使ってくれたのは大変ありがたいことでもあった。
 少なくともこの地を足掛かりにコーサンの記憶を追う事が出来る。
 後は、コーサンの行動に追いつけば済む話だからだ。
 怖いのはコーサンがこのグラン・ベルトを脱出するためのヒントを記憶から読み取ってしまうことだった。
 脱出されてしまっては、この地に連れて来た意味がない。
 あくまでも、この地を終焉の地としてもらわなくてはならない。
 カミーロは歩みを早めた。
 それに呼応するように町がどんどんできていく。
 彼の歩みの邪魔をするように影がどんどんできていく。
 その影はまるで人が立っている時に出来るような影だ。
 やがて、影は人の様な姿を映し出していく。
 人の様な姿が完全に現れた時、影は跡形もなくなった。