後悔しても遅い。
 彼女はすでに多くの人を殺めてしまっている。
 彼女を元に戻しても彼女の罪はもはや消えない。
 だから、彼女を生み出してしまった者の責任として、
 彼女を愛していた者の責任として、
 彼は、共に滅びよう──そう選択した。
 ソナタが愛した、芦柄 吟侍(あしがら ぎんじ)ならば、この考えは間違っているというかも知れない。
 だが、カミーロにとってはコーサンとの残された時間が全てとなっていた。
 命の終わりを愛する女性と一緒に居たい──それが例え殺しあう状況であったとしても。
 カミーロが渡ったこのロスト・ワールドはすでに存在していた者達は、死に絶えている。
 仮に何か出てきてもそれは、敵となるコーサン、魔形666号の作り出したものに過ぎないのだ。
 魔形666号の気配はない。
 共にこのグラン・ベルトにやってきたのはほぼ間違いないが、どうやら見える範囲にはいないようだ。
 彼女はゾンビを作り出す力を持っていた。
 が、それは魔形666号としての本来の力ではない。
 それは彼女を作り出してしまったカミーロがよく分かっている事でもある。
 彼女の本当の力はメモリー、思い出だ。
 一時の夢として、その土地の記憶を呼び起こす力を彼女は持っているはずだ。
 それは、カミーロが彼女との思い出を大切にしたかったので与えた力だった。
 よもや、それが悪用されるとは思ってもみなかったが、考えてみるとそれは非常に厄介な力とも言える。