01 グラン・ベルトの記憶


「静かだ……」
 カミーロ・ペパーズは何もない世界を見てまわる。
 見渡す限り何もない土地があるだけの世界だ。
 彼は自らの主としたソナタ・リズム・メロディアス第六皇女の成長を見届け、自分がいなくとも、彼女ならばやりたい事をやり遂げるだろうと確信して、この地に来た。
 元恋人でもある、コーサン・ウォテアゲはもはや人だった頃の心は持ち合わせていないただの殺戮人形と化してしまっている。
 コーサンを魔形(まぎょう)へと変えてしまったのはカミーロ自身だ。
 彼は、神形職人(しんぎょうしょくにん)として名声を得ていた。
 自信もあった。
 その自信が彼女を魔形へと変えてしまった原因の一つであったとも言える。
 カミーロの慢心が最高の神形となるはずだった彼女を最悪の悪魔へと変えてしまった。