3日という日にちはあっという間に経ち、アウローラの給料日となった。
 彼女はATMでお金を下ろし、フェリクスに封筒を渡そうとする。
 これがフェリクスの手に渡れば彼女との関係もそこで終わり。
 そう思われたが、
 そうはならなかった。
「いたぞ」
 突然、その声が響いた。
 フェリクスは自分が追っ手に見つかったと思って、封筒を受け取る前に駆けだした。
 彼女ともそれっきり。
 そう、一瞬思ったのだが、アウローラも同じ方向に駆けだしていた。
 そう、彼女もまた、追っ手から逃げる立場なのだ。
 実際に叫んだのは、強盗に入り、指名手配されていた別の男がフェリクスとアウローラの近くをうろついていて、その指名手配の男がそれを追っていた、警察官に見つかったというだけの事だったのだが、お互い、逃げたという事で、どちらも追っ手から逃げる立場であるという事が何となく伝わった。
 今は逃げる必要が無いと解ったものの、お互いが逃げている立場だということが何となく自分も相手も気づいている事となったフェリクスとアウローラは何となく気まずくなった。
 フェリクスは財布とお金の入った封筒を受け取ったものの、アウローラの事情も気になるので、このまま立ち去るのもどうかと思うようになった。
「あの……」
「あの……」
「え?」
「え?」
 思わず、お互いの言葉がハモる。
 お互い相手が何かあると思いつつも、それを踏み込んで聞けない。
 そんな状態だ。
 だが、どちらも目立つ生活は出来ない立場にあるという事は解った。
「誰かに、追われているの?」
 思い切ってアウローラに聞いてみる。
「ううん……別に、何も……そっちは?」
 当然、はぐらかされた。
 さらに、フェリクスの事情も聞いてくる。
「いや、こっちも別に……」
 お互い何となく気になるとは言え、隠している事情を話す程親しくなっていないのでお互いの事情を聞くことは出来なかった。
 何処から逃げているという事もあるので、お互いが敵か味方かどうかも解らない。
 このままでは協力関係になって良いかどうかも解らない。
 お互い、相手に悩みがあることは解っていても助け合えない。
 それが、今の二人の関係だった。
 気にはなるけど、自身の安全を確保するために、離れなければならなかった。
 二人は相手に気持ちを残したまま、お互いの道を行くのだった。