フェリクスがその情報に近づくと、彼を狙っていた組織と鉢合わせする可能性が高かったが、近づく前に引き返したので、ニアミスで、彼は危険を回避した。
 次の土地に移動した、フェリクスはそこで、アウローラと再会した。
「君は……」
 思わず、アウローラを見つめるフェリクス。
 彼女はコンビニでアルバイトをしていた。
「あ……」
 アウローラの方もフェリクスの顔に見覚えがあり、彼女は彼から財布を盗み取ったという過去があるので、どうしようかと思ったが、このバイトを放棄して逃げ出すと生活の安定が得られなくなるので、行動に迷いが生じているようだった。
「お、お客さん、ちょっと良いですか?」
 意を決したアウローラはフェリクスをコンビニの外に連れ出した。
「一度、会ったよね?」
 そう尋ねるフェリクスに、
「あ、あの時は悪かったと思っているわ。私も生きるのに必死で……お金は返すから、見逃して欲しいの。お願い、私にはやることがあるの。それまで捕まる訳にはいかないのよ。何でもするから」
 と見逃して貰おうと必死で懇願する。
 フェリクスとしては確かに財布を盗まれたのには腹を立てているが、彼にも姉を捜すという目的がある。
 彼女を警察に突き出すという事は彼の素性も少なからずバレる危険性がある。
 警察に組織の手が回っていないとも限らないので、面倒毎を避けたいという気持ちは彼も同じだった。
「いや、良いよ、財布さえ返して貰えれば……」
 と言ったが、生憎、アウローラの方はその財布の中身を使ってしまった後だった。
「か、返したいのは山々なんだけど、今は持ち合わせが……でも、必ず返すから。ホントよ。信じて」
「信じてって言われても……」
 本当ならすぐにでも立ち去りたかったが、そうも言っていられない状況のようだ。
「3日、それだけ待ってくれない?3日後、お給料が入るから、その時には必ず……」
「って、言われても、急いでいるし……」
「お願い。借りた分に利子もつけるから……」
 利子と言われても貸したのではなく、盗られたのだけどと言いたかったが、無い袖は振れないというのもあるだろう。
 彼女にも生活があるのだ。