紛い物の秘術――
 やはり、認めたくはないが、父は天才であると認めざるを得ないとフェリクスは思った。
 あっちへ行ってもこっちへ行っても偽物の情報が混じり合い、本物の情報へとたどり着かない。
 迷っていると新たな情報が入り、どれが本当の事だか全く解らなくなる。
 そういう時は全体を見ろ、
 その中の違和感を見つけろ、
 答えはそこにあるという教えをフェリクスは受けていた。
 一つ一つは偽情報の乱立で訳がわからなくなっているが、全体的に見てみると、ある一定の法則が見えてくる。
 その全体で見るというのにもコツがあり、それが大きすぎても小さすぎてもいけない。
 絶妙の距離感で見ると見えてくるというものだ。
 ある情報は活かし、ある情報は切り捨てる。
 その取捨選択をしていくと、バティストの意図も何となくだが、見えてくるのだ。
 これは、家族にしか解らない暗号のようなものだった。
 自分の家族にだけ、見えるようにした特殊なメッセージ。
 それが、なんなのかはよく解らないが、答えにたどり着く前に、フェリクスはその情報が本物であるか偽物であるか解った。
 答えにまでたどり着いてしまうと、その近くにある危険が迫る事になるが、答えの場所にたどり着く前に答えがわかると危険をある程度、回避出来て、偽物であるのならば、それを捨てて、次の答えを探しに行けるというのもフェリクスに与えられている特典でもあった。
 フェリクスは天候の秘術と言われる【アイアファイスの秘術】は違うと断定し、その真偽を確かめずに、次の情報の地に足を向けた。