フェリクスとアウローラ――
 二人の出会いはこれが初めてだった。
 決して、よい出会いとは言えないがどちらにとっても妙に印象に残る相手として映っていた。
 財布を失ってしまったフェリクスだが、バティストから授かった知識を利用して、手持ちの物を使って新商品を作り出し、それを売って、資金に変えていた。
 お坊ちゃん育ちではあるのだが、バティストの教育が微妙な形で次に為すべき事というのをフェリクスに判断させていた。
 ある程度、資金を得たところで、場所を移動し、姉の捜索を続けるのだった。
 客からの情報で姉に繋がるかも知れないヒントを一つ得ていた。
 【アイアファイスの秘術】――その秘術に姉が関わっている可能性がある。
 この秘術がどのようなものかは不明だが、それは【兵宮】に匹敵する程の秘術であるという噂があるのだ。
 調整者で、0番から9番と11番から19番の少女が捕まったという話しは聞いていない。
 だとすると10番の調整者から解放された秘術である【兵宮】に匹敵する秘術は【イオナの封印】の中にはない。
 【イオナの封印】にも入っていない秘術の中に【兵宮】に匹敵する秘術があるとは考えにくい。
 だとすれば、姉の誰かが、その秘術に関わっているという可能性があるという事だ。
 フェリクスは【アイアファイスの秘術】の情報を集めるために奔走した。
 彼にとっては情報を誰かに聞くという行為は非情に難しい事だった。