【兵宮】とは、材料となる鉱物などを取り入れるとそこから、命令で動く鉱物兵器を生み出す力を持っている。
 鉱兵はその中でも最下級兵器に当たる鉱物兵だ。
 将棋で現すなら歩、チェスで現すならポーンと言ったところだろう。
 その鉱兵は【兵宮】を通して遠隔操作で動かす事も出来る。
 【兵宮】を所有する組織の一つが、鉱兵を使って、逃げたアウローラ達を追っているのだ。
 アウローラは泥水をすすった。
 喉が渇いたからだ。
 が、とたんに咳き込みむせる。
 濾過されていない泥水は死ぬほど不味かった。
 だけど、贅沢は言っていられない。
 生きて、バティストに復讐するためには細菌混じりの泥水だろうが、すすって生きてやる。
 両親からもとっくに見捨てられている彼女にとっては、バティストへの復讐心は生きる上で必要なエネルギーをくれるものであった。
 彼女はその執念に縋るしか、生きる希望を見いだせなかったのだ。
 彼女は近くの町を見る。
 そこには、綺麗な格好をした女の子が父親にプレゼントを買ってもらって喜んでいる光景が映った。
 それは彼女が望んでも手に入らないものだった。
 幸せそうにしている女の子の首を絞めてやりたいと思った。
 彼女が逃げている立場でなかったら、実際にやっていたかも知れない。
 それほど、気持ちが荒んでいた。
 世の中のもの全てが憎い。
 そんな感情に支配されていた。
 心が荒んでいた。
 彼女は薄汚れてしまった顔を泥水で洗い、その場を後にした。