ソナタの成長ぶりは吟侍も驚く程凄いものだった。
 油断していたら、吟侍と言えどもタダでは済まないだろう。
 怪物ファーブラ・フィクタの精神操作は大体、解る。
 少し前に、自分も失われた世界、ロスト・ワールドでその力の強制力を体感して来たばかりだからだ。
 自分が自分でない感覚。
 あれは気持ちの良いものではない。
 少しでも早くソナタを解放してあげたい。
 吟侍はそう思っていた。
 ならば、どうするか?
 吟侍にはウィークポイントレシピという力がある。
 この力は弱点が存在しない相手に弱点属性を作り出すという力だ。
 この力の応用で、怪物ファーブラ・フィクタの精神操作を解除する力を合成出来れば。
 そう考えていた。
 言うが早いか、吟侍は右手人差し指と中指に意識を集中させて集めた光のエネルギーをソナタに向けて放つ。
 が、分析中に違和感を感じて、ウィークポイントレシピの光が霧散した。
「な、何だ?今のは……」
 吟侍はビックリした。
 それはソナタの意識を支配していたのが、この全宇宙には全く存在しない種類の属性を持っていたからだ。
 複数の属性を合成して、合う属性を作れば済むという問題ではなかった。
 宇宙にあるどの属性を混ぜても答えに結びつかない。
 そんな属性だったのだ。
 吟侍は怪物ファーブラ・フィクタという男の力を見誤っていた。
 暗示や能力効果などによる精神操作。
 それとは別の何かでソナタの意識はコントロールされていたからだ。
 今の吟侍の力では解除出来ない。
 そう、直感した。
 ソナタの思考を元に戻すには怪物ファーブラ・フィクタに戻してもらうしかない。
 そんな絶望感が吟侍の意識をよぎった。
 焦る吟侍を余所にソナタの攻撃が始まる。