姉たちはあまりにも馬鹿げた力を秘めてしまったフェンディナに力を使わせないように、代わりとしてティルウムスをあてがっていたのだ。
 大きな区分けで、長い系統を見てみれば、フェンディナはクアンスティータと同じ系統を持って生まれてきた少女だった。
 その系統とは複合多重生命体。
 フェンディナもまた、複数の身体を持つという事だ。
今までは、設定を変える力を持つ、長女ロ・レリラル、アカシックレコードの知識を持つ次女ジェンヌ、結果を捻じ曲げる力を持つ三女ナシェルという鉄壁のガードが居たため、四女フェンディナは覚醒してこなかった。
 だが、生命の危機に瀕した時、その両の瞳より力の一部が解放された。
 その力はルフォスやティルウムスなどの他の化獣クラスの力ではない。
 クアンスティータにも対抗しうる力だった。
 その力の解放を前にティルウムスは一瞬にして萎縮した。
 絶対の自信を持っていたティルウムスは一発で恐怖を感じたのだ。
 フェンディナに眠っていたその力はその後、ならず者達を一掃して、再び、静けさを取り戻した。
 それから何事もなかったように不安げなフェンディナが目を覚ました。
 それは、いつもの周りに対してどこか怯えたような感じのフェンディナだった。
 だが、ティルウムスはその瞳の中にいる何かに対して怯え始めた。
 それからフェンディナの身体の不協和音が始まる事になった。
 ティルウムス自身も本来の力を出せなくなってしまっているのだ。
 力が身体にほとんどシンクロしないアンバランスそのものの状態、それが今のフェンディナだった。
 むしろ、ほとんどゼロパーセントのシンクロ率で、よくもまぁ、これだけのパワーが出せると感心するくらいだった。
 アピス・クアンスティータとの戦いをこのほとんどゼロの状態でよく生き残ったというべきだろう。
 その状態は今でも続いている。
 だが、それは、長くは続かない。
 瞳の中の何かがクアンスティータに抵抗するために再び目覚める時が来る恐れがある。
 その力を解放させるまえに封印してしまおう。