むしろ、心地よい。
 しばらくするとカノンが意識を失った。
 それを優しく抱きかかえる存在が。
 ゼルトザームだった。
「――お疲れ様です。まもなく、あのお方、クアンスティータ様がご誕生なさいます。カノン様はやはり、クアンスティータ様をお任せするにふさわしいお方だと確信いたしました。後はこのゼルトザームめがやりますので、今はお休みください」
 そう言って、ゼルトザームは腕を振り上げた。
 それと同時に、くすぶっていた【スーパーナチュラル】の歪んだエネルギーが霧散した。
 それを見たブレセ・チルマは
「いつから気づいていたんだ?」
 と言った。
 気づいていたとはカノンの可能性のことだ。
 ゼルトザームは
「最初からですよ。僕は確認作業をしていただけです」
 とにっこり笑った。
 ブレセ・チルマ
「喰えん奴だ……」
 とつぶやいた。

 ほんの僅かな期間、一時とは言え、惑星アクアの住民達は心を一つにした。
 その事実は確かだった。
 例え、その後で、血で血を洗うような凄惨な戦いが待っていたとしても。
 クアンスティータ誕生を前に、星は丸ごと一つの意思を持った。
 恋人、吟侍だけではなく、カノンもまた、一つの伝説となった。

 彼女は疲れてまた、眠ってしまっている。
 今はしばしの休息。
 彼女が目覚めた時、彼女の新たな平和への戦いが待っている。
 今はただ、眠る。
 事なきを得たという実感をかみしめて。

続く。