だが、悩んで立ち止まっている余裕は彼女にはない。
 【スーパーナチュラル】……超自然現象が迫っているのを感じるからだ。
 恐らくは、水……、他の4連星と比べても水の量が圧倒的に多い惑星アクアは近い将来【スーパーナチュラル】と呼ばれる超自然現象で崩壊の危機に見舞われると彼女の計算では出ている。
 もはや、絶対者アブソルーター達と人間達が、主導権を求めていがみ合っているような状況ではないのだ。
 多くの人間が絵空事と考えているクアンスティータ誕生――
 それは、かなりの確率で、あり得る事だとカノンは推測していた。
 恋人の吟侍(ぎんじ)や七番の化獣ルフォスも十三番の化獣クアンスティータは誕生すると思っている。
 カノンも同意見だった。
 クアンスティータは確実に生まれる。
 例え、どんなに絶望的な力を持って生まれてこようと生まれて来る赤ん坊に罪はない。
 むしろ、その強大過ぎる力を悪い大人が利用しようとするだろう。
 そのような者達から守り、正しく生きられるように教育すること。
 それが重要だと考えている。
 クアンスティータも正しく教え、導けば、よい子に育ってくれる。
 カノンはそう考えている。
 周りはみんな、クアンスティータを恐怖の代名詞、不可能、絶望の象徴のように考えていて、警戒しているが、カノンは違っていた。
 誰も、好き好んで、そういう風に生まれてくる訳ではない。
 クアンスティータだって、そうだ。
 強すぎた力を持って生まれてくるという事は、その力を悪意を持つ他者に利用されやすいという事でもある。
 そういう意味では不幸な子供だとも思っている。
 優しく包んであげたい。
 カノンはそう思っていた。
 不思議とクアンスティータに対する恐怖はなかった。
 そんなカノンだからこそ、色眼鏡で見ないカノンだからこそ、クアンスティータの方もお気に入りとして認めたのだ。
 そういう意味では真っ正面からぶつかっていこうとする吟侍とは別の意味で認められたという事になる。
 だが、その事実を知る者は今のところいない。
 クアンスティータは非常に怖い存在――
 これが、この世界の常識となっている。
 地球で例えれば、天動説が一般的な時に地動説を唱えるようなものなのだ。