クアンスティータの誕生というのはそれだけの意味を持つのかと琴太は思った。
 ウォワリとの戦いは熾烈を極めた。
 そのままの技量では琴太は勝てず、何度も間一髪の危機を感じた。
 その事が彼の中に眠っていた7番の化獣ルフォスの欠片核の力を目覚めさせていた。
 目覚めたと言ってもまだ、パワーだけ。
 能力がどうのこうのという話ではない。
 だが、それでも時間の逆再生や空間の入れ替えなどの複雑な異能を用いて攻撃してくるウォワリの攻撃に対する耐性がついて来ているのを感じた。
 明らかに強くなっていっていた。
 琴太の生命の危機が彼の中の欠片核の活性化に繋がったのだ。
 そう、かつて、子供の頃の吟侍がルフォスの核を手に入れ、絶対者アブソルーターのジェンドやルゥオを追い払った時の様な覚醒が始まったのだ。
 残念ながら、核の本体は吟侍の心臓の部分だが、それでもそれに近いパワーを琴太の身体から発生していた。
 この力は本来の未来では偲に殺された琴太の中から取りだし、偲が利用し、吟侍を死亡に導いたという事になっている。
 トドメを刺したのはティアグラだとしてもその切っ掛けとなったものでもある。
 最強の英雄、吟侍を死に至らしめた原因ともなった欠片核が弱い訳がない。
 琴太の背中から大きなトゲのようなものが生える。
 これはルフォスの特徴でもある。
 欠片とは言え、ルフォスの力を手にしたという事でもあった。
 今は、非情に不安定な状態ではある。
 だが、ウォワリが警戒するには十分な力だった。
「何をした?」
 ウォワリが時間の逆再生を解いて、訪ねた。
「さあな。だが、ありがてぇ。ティアグラに対抗する目処はつきそうだ」
 と琴太は答えた。
 それでもティアグラには及ばないとは思う。
 だが、いくらか抵抗する力を持ちつつある――琴太はそう確信した。
 琴太は構える。
 が、そこに邪魔が入った。
 能力を解いたウォワリの背後から一撃を与えた影が一つ。
 琴太には面識がない存在だった。
 だが、偲達にはある。
 かつて、恐獣(きょうじゅう)と呼ばれた存在、その長であったクティノスだった。
 偲に心臓を潰されその下僕となった下位絶対者だった。