これが本物だった場合、どれほどの力を秘めているのか検討もつかないからだ。
「実はねぇ。僕は元々、【ティアグラ】の欠片核(かけらかく)だったんだけど、その力を君の大切な人に与えてしまってねぇ。今は殆ど無力なんだよ。出来れば、君を殺しておきたいところなんだけど、それも敵わない」
「大切な人ってのは誰の事だ?」
「野茂 偲(のも しのぶ)と言えばさすがに解るよね。彼女は今、僕の手の内だ」
「ど、どういう事だ?」
 琴太は動揺する。
 偲は確か、特殊な絶対者になったとドゥナから聞かされていた。
 それはティアグラの配下になったという事ではない。
 が、このティアグラの残留思念は、自らの手の内にあると言った。
 一体、彼女の身に何が起きているんだ?
 琴太は不安に不安を重ねられたような感じになった。
「君にも入っているよね、ルフォス君の欠片核。これで、野茂 偲と君とは完全な敵対関係になった。僕とルフォス君は相容れない存在だってこと解るよね?」
「て、てめぇ……」
「強がるのは良いけど、敵対した以上、君の実力を見ておきたいと思ってね。ティアグラ・ワールドを削って、ここに仮想の空間を作らせてもらったよ。仮想の空間だからね。勝っても負けても君は命を落とすこと無く、元の世界に戻れる。ただし、こちらで用意した三名の相手と戦ってもらうよ」
 と言った後、姿が掻き消えた。
 つまり、腕試しをさせられるということかと琴太は理解した。
 命を落とす事なくとは言われたが、ティアグラとは狡猾な性格をしているというのは理解している。
 やられたらそのまま命を落とすかもしれないし、例え助かっても五体満足で戻れるという保証は全くない。
 また、下手に実力を見せてしまったら、ティアグラに今後の対策を取られやすくなってしまうかも知れない。
 どちらに転んでもティアグラにとって有利となる事は解ったが、かといって死ぬかも知れない以上、手をぬく訳にも行かない。
(やるしかねぇか……)
 琴太は腹をくくった。