だけど、その声は導造君の精神の深いところから響いていた。
(私は死の回収者……存在が死に絶えるほど、私は強くなる……はずだった)
 何?何を言っているの、こいつは?
(存在が死ねば、その力は私の元へ吸収される。そうやって私は強くなっていった。その力があれば今頃は……)
 声はなおも響く。
 死の回収者?
 なんなのそれは?
(芦柄 吟侍──怪物ファーブラ・フィクタの魂を持つ男。その男を近づけるな)
 怪物ファーブラ・フィクタ?
 たしか、ルフォス達、化獣を生み出したとされる存在で、魔女ニナの夫とされる怪物の名前だったかしら……。
 神や悪魔にクアンスティータの恐怖を植え付けたとされる神話の中の男──
 吟侍君がその男の魂を持っていたっていうの?
(怪物ファーブラ・フィクタの力により、私の力はより弱く書き換えられた。あぁ、恨めしい……)
 私は恐怖した。
 少なくとも、こいつには化獣クラスの力がある。
 化獣ではないようだけど、なんでこんなのが居るの?
「あ、あんた何者よ?」
 私は名前を尋ねた。
 導造君の気弱な態度はこいつが原因だ。
 こんなのが、導造君の中に巣食って絶えずプレッシャーをかけていたら、萎縮して、怯えた性格になるのも無理はない。
「私の名前は【ファイシャ】……死の回収者」
 本能的にわかる。
 【ファイシャ】と名乗るこいつは、吟侍君に対するルフォスのように味方になってくれる存在ではない。
 敵だ。
 間違いなく敵だ。