「よく、ここまで来たね」
 とニアリリスD。
「あんたが呼び出したんでしょうが」
 と私は突っ込む。
 これは強がりだ。
 半ばやけにもなっている。
 私達が出来る最善の策は――
「いやだぁ~怖い、怖い」
 と怯える導造君を前に出すこと。
 これはもちろん、エテレイン様のトラップのためだ。
 決して、彼を虐待している訳ではない。
「よくも、私のニアリリスEを破壊してくれましたね。たっぷりいたぶってから殺してあげますよ」
 ニアリリスDは導造君を嬲り殺すつもりだ。
 それは、ちょっと困る。
 一気にトドメをさして貰わないと。
「良い?導造君。長引くと痛いわよ。だから、一気に懐に飛び込みなさい。上手くやるのよ」
「怖いよ、朱理ちゃん」
「怖くても、今はあなたしか出来ないの。男でしょ」
「死んじゃうよ~」
「死なないためにやっているのよ。バンジージャンプを飛ぶような気持ちでガツンと行きなさい。エテレイン様の加護がついているんだから今回だけは絶対大丈夫」
「でも、怖いよ~」
「怖いのは百も承知よ。でも、この場を乗り切るには今、この手しかないの。頑張って」
「頑張ってって言われても」
「大事なのは飛び込む勇気よ」
「これ、勇気?」
「死中に活を求めるよ。ためらったらかえって危険なのよ」
「わ、解った」
 ビクビク震えながら、導造君は前に進み出る。
 私だってこんな方法、選択したくない。
 だけど、殺人人形から逃れるには今はこの手しかないの。
 私は導造君の無事を祈る。
 そして、導造君は意を決し、ニアリリスDの元に突っ込んでいった。
 ここでためらえば、かえって苦しむ事になるからだ。
「ふん、そんなに死にたいか」
 不敵に笑う、ニアリリスDは突っ込んでくる導造君の心臓に硬質化させた右腕を突っ込もうとした。