026 いざ、次の冒険へ

「おーう、リタ、ボクもついて行くネ」
「いらないでース。スティーブの方がいいネ」
「オレは行かないネ、ブリットが居れば十分ネ」
 リタ、スティーブ、ブリットのトリオ漫才も大分、慣れてきた。
 事務作業の引き継ぎ、下準備等に一月かかり、いよいよ、遠方への開拓冒険に出る事になる。
 そして、A級になるための予備期間終了まで十一ヶ月を切っている。
 今回は危険度が高いので、卯月のすぐ下の妹、皐月(さつき)の会社の開拓冒険チームと途中で合流することになっている。
 だが、この開拓冒険が成功すると、皐月の会社との合同とは言え、十分、更に二人はクエスト・ガイドを雇うくらいの資金が入るという見積もりだ。
 この情報を他のクエスト・ガイドオフィスに提供する事によって、クエスト・ガイドとしての仕事の幅が、企業全体で伸びる可能性があるからだ。
 それだけ、危険な冒険でもあるが、これこそ、クエスト・ガイドの醍醐味でもある。
 むろん、命の危険もつきまとう。
 だが、それを気にしていたら、この職業は勤まらない。
 卯月とリタは遺書を事務に預けた。
 もしもの時は、家族に届けるように、冒険に出る前には新しい遺書を書くのがこの職業では一般的な礼儀となっている。
 今回は【卯月クエスト・ガイドオフィス】からクエスト・ガイド3名、【皐月パーティーズ】からクエスト・ガイド5名の合計8名による探索が予定されている。
 効率の面からクエスト・ガイドは開拓冒険には2~4名で出るのが一般的とされているので、8名というのは大人数という事になる。
 今回訪れる未開の土地は調査カメラをあらかじめ20台送っていたが、いずれも映像が途中で途切れ、戻って来ていない。
 確認されているだけでも3種類の危険生物がいることが解っている。
 冒険者が遭遇するボスとして考えられているが、余りにも危険、人里に影響する様な状況になっていた場合、他の地へ誘導するか、最悪、排除の方向も視野に入れないといけない状況だった。
 危険生物からそう遠くない距離に小さな町等が確認されたためだ。
 そのあたりの確認作業も含めた遠方開拓冒険となる。
 危険度は卯月達がこれまで冒険した開拓冒険とは比較にならないくらいアップしている。
 これからは気を引き締めてかからないと行けない冒険が始まる。

「Xくん、リタさん、私、頑張るよ」
 卯月は気持ちを奮い立たせた。