023 ところで……
「ところであんた、どうするの?」
弥生は卯月に尋ねる。
「どうするって何が?」
卯月は首を傾げる。
弥生の言っている意味が解らなかったからだ。
「じゃあ、聞いてないってことか、仕方ないわね、教えてあげる」
弥生はやれやれと言った表情で、卯月に伝えた。
「えぇ~っ、そんなの聞いてない」
「X様はご存じでしたよね?」
「えぇ、まぁ。だから、遠方の冒険が必須だと思って準備していたんですよ」
「Xくん、私、聞いてない」
「言いましたよ。ただ、上の空で、あまり聞いてなさそうだったので、先に準備だけ初めて後で再度、伝えようと思っていましたけど」
「き、緊急事態じゃない」
「緊急なのはいつものことじゃないですか」
「言ってよぉ~」
「だから、言いましたって。見たいテレビがあるから後にしてと言っていたのはあなたじゃないですか」
「え?いつ?」
「一昨日の夜ですよ。だから、昨日、アイテムショップで買い物したんじゃないですか」
「どどど、どうしよう?」
「慌てても仕方有りません。クエスト・ガイドを育てている時間が無い以上、他から引き抜くか、技量のある人間を見つけるしかありません。そのためには、遠方の開拓冒険に出て、うちの魅力をアピールしないと来る者も来ませんからね。本当に死活問題なんですよ、今は」
「わー、どーしよー?」
「慌てないで下さいって」
卯月は動揺しまくった。
彼女が慌てる理由――
それは、国の法改正による、クエスト・ガイドオフィスの認定基準の変更だった。
これまでは、最低、一人居れば、経営としてなりたっていたが、A級とB級にクラス分けされることになったのだ。
A級と認定されるには、クエスト・ガイド6人以上、事務スタッフ4人以上が必要とされる。
それに満たない人数の場合は実績の有無を問わず、B級に格付けされる。
A級は一流、B級は二流というランク付けがされるため、その後の仕事にも影響する大きな事なのだ。
今回の勝負で、事務スタッフは稼げば雇えるようになるが、クエスト・ガイドはそうはいかない。
弥生は何もイジワルで、Xくんとのトレードを申し出た訳ではないのだ。
クエスト・ガイドが足りないから補充してあげるという意味でも申し出たのだ。
姉妹の中では卯月の他に、少数精鋭でやっている次女如月(きさらぎ)の会社もこれに当たるが、彼女の場合はA級B級にこだわっていない。
例え、B級でも役に立たないクエスト・ガイドを雇うよりは少数精鋭であるという事を優先させるという事で、同じく、弥生の申し出を断っている。
だが、卯月の会社はそうは行かない。
B級にランク付けされてしまったら、それこそお客さんが遠のく事になってしまうのだ。
この法律が制定されるまでは一年間の準備期間があるので、それまでにクエスト・ガイドと事務スタッフを4人ずつ用意しないといけないのだ。
卯月が慌てているのを見ていたリタは
「弥生シャチョー、ちょっと、いーですカ?」
と言って来た。
しばらく、弥生とリタは別室で相談して、戻って来た。
「卯月シャチョー、よろしくネ」
と突然、リタが言った。
「は?」
卯月は思わず聞き返す。
「えーとね、何から話したら良いのか、リタがうちを退職して、あんたんとこ入るってさ」
弥生が補足説明をした。
「本当ですか、リタさん」
Xくんが喜ぶ。
「卯月シャチョーのとこの方がスリルありそうネ」
リタがウインクする。
「ほ、ほんと?リタさん?」
卯月も後から喜ぶ。
これで、少なくとももう一人、クエスト・ガイドが増える事になる。
三人になれば、行動範囲もそれだけ、増える事になる。
「ほんとネ。ただし、会社潰れたら、弥生クエストカンパニーに戻るネ」
「も、もちろん、潰さないよ」
「なら、オーケーね。よろしくネ、お二人さん」
「こちらこそ、よろしくお願いします。歓迎しますよ、リタさん」
「ありがとう。本当にありがとう」
本当はXくんと二人きりというのをしばらく満喫したかったが、そうも言っていられない状況になったので、卯月と互角の実力を持つリタが加わってくれるなら頼もしい限りだった。
「全く、大損だわよ、こっちは。三連敗の上に優秀なクエスト・ガイドが一人、居なくなるんだから」
「弥生シャチョーには感謝してるネ。ユーがいなかったら、ミーはここまでせいちょーしなかったネ」
苦労はしたが、貴重な戦力も一人加わり、【卯月クエスト・オフィス】も良い走り出しをしていた。
後、クエスト・ガイド3人をどこかで、スカウトするのと事務スタッフ4人を雇う事。
それが、一年後までの絶対条件となった。
「ところであんた、どうするの?」
弥生は卯月に尋ねる。
「どうするって何が?」
卯月は首を傾げる。
弥生の言っている意味が解らなかったからだ。
「じゃあ、聞いてないってことか、仕方ないわね、教えてあげる」
弥生はやれやれと言った表情で、卯月に伝えた。
「えぇ~っ、そんなの聞いてない」
「X様はご存じでしたよね?」
「えぇ、まぁ。だから、遠方の冒険が必須だと思って準備していたんですよ」
「Xくん、私、聞いてない」
「言いましたよ。ただ、上の空で、あまり聞いてなさそうだったので、先に準備だけ初めて後で再度、伝えようと思っていましたけど」
「き、緊急事態じゃない」
「緊急なのはいつものことじゃないですか」
「言ってよぉ~」
「だから、言いましたって。見たいテレビがあるから後にしてと言っていたのはあなたじゃないですか」
「え?いつ?」
「一昨日の夜ですよ。だから、昨日、アイテムショップで買い物したんじゃないですか」
「どどど、どうしよう?」
「慌てても仕方有りません。クエスト・ガイドを育てている時間が無い以上、他から引き抜くか、技量のある人間を見つけるしかありません。そのためには、遠方の開拓冒険に出て、うちの魅力をアピールしないと来る者も来ませんからね。本当に死活問題なんですよ、今は」
「わー、どーしよー?」
「慌てないで下さいって」
卯月は動揺しまくった。
彼女が慌てる理由――
それは、国の法改正による、クエスト・ガイドオフィスの認定基準の変更だった。
これまでは、最低、一人居れば、経営としてなりたっていたが、A級とB級にクラス分けされることになったのだ。
A級と認定されるには、クエスト・ガイド6人以上、事務スタッフ4人以上が必要とされる。
それに満たない人数の場合は実績の有無を問わず、B級に格付けされる。
A級は一流、B級は二流というランク付けがされるため、その後の仕事にも影響する大きな事なのだ。
今回の勝負で、事務スタッフは稼げば雇えるようになるが、クエスト・ガイドはそうはいかない。
弥生は何もイジワルで、Xくんとのトレードを申し出た訳ではないのだ。
クエスト・ガイドが足りないから補充してあげるという意味でも申し出たのだ。
姉妹の中では卯月の他に、少数精鋭でやっている次女如月(きさらぎ)の会社もこれに当たるが、彼女の場合はA級B級にこだわっていない。
例え、B級でも役に立たないクエスト・ガイドを雇うよりは少数精鋭であるという事を優先させるという事で、同じく、弥生の申し出を断っている。
だが、卯月の会社はそうは行かない。
B級にランク付けされてしまったら、それこそお客さんが遠のく事になってしまうのだ。
この法律が制定されるまでは一年間の準備期間があるので、それまでにクエスト・ガイドと事務スタッフを4人ずつ用意しないといけないのだ。
卯月が慌てているのを見ていたリタは
「弥生シャチョー、ちょっと、いーですカ?」
と言って来た。
しばらく、弥生とリタは別室で相談して、戻って来た。
「卯月シャチョー、よろしくネ」
と突然、リタが言った。
「は?」
卯月は思わず聞き返す。
「えーとね、何から話したら良いのか、リタがうちを退職して、あんたんとこ入るってさ」
弥生が補足説明をした。
「本当ですか、リタさん」
Xくんが喜ぶ。
「卯月シャチョーのとこの方がスリルありそうネ」
リタがウインクする。
「ほ、ほんと?リタさん?」
卯月も後から喜ぶ。
これで、少なくとももう一人、クエスト・ガイドが増える事になる。
三人になれば、行動範囲もそれだけ、増える事になる。
「ほんとネ。ただし、会社潰れたら、弥生クエストカンパニーに戻るネ」
「も、もちろん、潰さないよ」
「なら、オーケーね。よろしくネ、お二人さん」
「こちらこそ、よろしくお願いします。歓迎しますよ、リタさん」
「ありがとう。本当にありがとう」
本当はXくんと二人きりというのをしばらく満喫したかったが、そうも言っていられない状況になったので、卯月と互角の実力を持つリタが加わってくれるなら頼もしい限りだった。
「全く、大損だわよ、こっちは。三連敗の上に優秀なクエスト・ガイドが一人、居なくなるんだから」
「弥生シャチョーには感謝してるネ。ユーがいなかったら、ミーはここまでせいちょーしなかったネ」
苦労はしたが、貴重な戦力も一人加わり、【卯月クエスト・オフィス】も良い走り出しをしていた。
後、クエスト・ガイド3人をどこかで、スカウトするのと事務スタッフ4人を雇う事。
それが、一年後までの絶対条件となった。