020 花巻 栞との勝負
「社長~頑張って」
「え、Xくん、応援は良いから何かアドバイスを」
「ファイト」
「だから、アドバイスを」
「そこ、私語うるさい」
卯月はXくんにアドバイスを求めるが、Xくんは応援だけで、何も言ってくれない。
オマケに、弥生に注意されてしまった。
誰にも頼れない。
そんな状況だった。
だが、Xくんは考え無しにやっている訳ではなかった。
この先、Xくんがべったり、卯月との冒険に付き添っていく訳にはいかない。
それでは、いつまでたっても彼女は成長しないからだ。
自分で考えて、自分で行動する。
自分が開拓して来た、新しい土地の情報を自分の言葉で冒険者に伝えなくてはならないのだ。
それが、クエスト・ガイドという職業だからだ。
何から何まで、Xくんが答えていたのでは、卯月自身のクエスト・ガイドという職業は成立しないのだ。
遠方の冒険をするようになれば、それは確実に、増えてくる。
だから、遠方への冒険の前にたたき直す必要があったのだ。
なので、卯月にとっても弥生の会社との勝負は願ってもない状況なのだ。
そんな彼の思惑を知ってか知らずか、
「お、お手やわらかにね、お願いね」
と弱気な態度だった。
「栞、負けたら補習だからね」
弥生はCランクのクエスト・ガイドに檄を飛ばす。
「この人、社長の妹さんですよね?本当に姉妹ですか?何か随分、頼りない感じがするんですけど?」
栞は舐めていた。
完全に卯月を見下していた。
「腐っても私の妹よ。油断しない」
「弥生姉、腐っているは酷い」
「そんな、へっぴり腰をしている内は十分腐っているわよ」
「さすが、弥生さんですね。僕もその通りだと思います」
「Xくん、どっちの見方なのぉ~?」
「だから、立場上、どちらの見方もできませんよ」
「ひーん」
「無駄口はそこまで、始めるわよ。双方、良いわね」
「オッケーで~す、社長。ぱぱっといきまぁ~す」
「こ、こっちもオッケー……」
「始め」
弥生がレフェリーとなって組み手の試合が開始された。
この勝負は先に五本、決定打を打ち込んだ方が勝ちという勝負だ。
ヒュッ
「はい、まず、いっぽ……」
んと言おうとした栞だったが、偶然か、滑った卯月の一撃がたまたま、先にヒットして、栞の攻撃は無効になった。
「や、やった……」
「ちっ、まぐれ当たりか」
今の一撃を卯月と栞は、たまたま決まった偶然と判断したが、Xくんと弥生は別だった。
「栞、本気でやりなさい。このままだと、あんた、負けるわよ」
「何、言ってんですか、社長、たまたまですよ、たまたま。一発入っただけじゃないですか、これからですって」
「悪い癖が出た。補習決定ね」
余裕顔の栞に対し、弥生は苦虫を噛みつぶしたような表情になった。
そして、弥生の考えは的中する。
一本くらい大した事ないと思っていた栞だが、二本目、三本目と入れられていく内に、余裕が無くなり、慌てて三本取り返した。
三対三の同点となった栞は
「追いつこうと思ったら、余裕なのよ、あんたなんか」
と強がりを言った。
「バカ、これが死闘なら一本目の時、栞、あんたの方がやられてたのよ」
「もう、一本もやらせない」
気合いを入れ直す栞だが、卯月の方は三本入れられた事により、余裕が持てた。
その後、二本卯月が連取して、この勝負は卯月の勝利となった。
「な、なんで……?」
「先に、卯月の方が冷静になれた。敗因は増長して、それが遅れたことよ」
「そ、そんな……」
卯月の一勝目だった。
だが、これは相手が油断していたから出来た事。
次はそう簡単にはいかない事でもあった。
「社長~頑張って」
「え、Xくん、応援は良いから何かアドバイスを」
「ファイト」
「だから、アドバイスを」
「そこ、私語うるさい」
卯月はXくんにアドバイスを求めるが、Xくんは応援だけで、何も言ってくれない。
オマケに、弥生に注意されてしまった。
誰にも頼れない。
そんな状況だった。
だが、Xくんは考え無しにやっている訳ではなかった。
この先、Xくんがべったり、卯月との冒険に付き添っていく訳にはいかない。
それでは、いつまでたっても彼女は成長しないからだ。
自分で考えて、自分で行動する。
自分が開拓して来た、新しい土地の情報を自分の言葉で冒険者に伝えなくてはならないのだ。
それが、クエスト・ガイドという職業だからだ。
何から何まで、Xくんが答えていたのでは、卯月自身のクエスト・ガイドという職業は成立しないのだ。
遠方の冒険をするようになれば、それは確実に、増えてくる。
だから、遠方への冒険の前にたたき直す必要があったのだ。
なので、卯月にとっても弥生の会社との勝負は願ってもない状況なのだ。
そんな彼の思惑を知ってか知らずか、
「お、お手やわらかにね、お願いね」
と弱気な態度だった。
「栞、負けたら補習だからね」
弥生はCランクのクエスト・ガイドに檄を飛ばす。
「この人、社長の妹さんですよね?本当に姉妹ですか?何か随分、頼りない感じがするんですけど?」
栞は舐めていた。
完全に卯月を見下していた。
「腐っても私の妹よ。油断しない」
「弥生姉、腐っているは酷い」
「そんな、へっぴり腰をしている内は十分腐っているわよ」
「さすが、弥生さんですね。僕もその通りだと思います」
「Xくん、どっちの見方なのぉ~?」
「だから、立場上、どちらの見方もできませんよ」
「ひーん」
「無駄口はそこまで、始めるわよ。双方、良いわね」
「オッケーで~す、社長。ぱぱっといきまぁ~す」
「こ、こっちもオッケー……」
「始め」
弥生がレフェリーとなって組み手の試合が開始された。
この勝負は先に五本、決定打を打ち込んだ方が勝ちという勝負だ。
ヒュッ
「はい、まず、いっぽ……」
んと言おうとした栞だったが、偶然か、滑った卯月の一撃がたまたま、先にヒットして、栞の攻撃は無効になった。
「や、やった……」
「ちっ、まぐれ当たりか」
今の一撃を卯月と栞は、たまたま決まった偶然と判断したが、Xくんと弥生は別だった。
「栞、本気でやりなさい。このままだと、あんた、負けるわよ」
「何、言ってんですか、社長、たまたまですよ、たまたま。一発入っただけじゃないですか、これからですって」
「悪い癖が出た。補習決定ね」
余裕顔の栞に対し、弥生は苦虫を噛みつぶしたような表情になった。
そして、弥生の考えは的中する。
一本くらい大した事ないと思っていた栞だが、二本目、三本目と入れられていく内に、余裕が無くなり、慌てて三本取り返した。
三対三の同点となった栞は
「追いつこうと思ったら、余裕なのよ、あんたなんか」
と強がりを言った。
「バカ、これが死闘なら一本目の時、栞、あんたの方がやられてたのよ」
「もう、一本もやらせない」
気合いを入れ直す栞だが、卯月の方は三本入れられた事により、余裕が持てた。
その後、二本卯月が連取して、この勝負は卯月の勝利となった。
「な、なんで……?」
「先に、卯月の方が冷静になれた。敗因は増長して、それが遅れたことよ」
「そ、そんな……」
卯月の一勝目だった。
だが、これは相手が油断していたから出来た事。
次はそう簡単にはいかない事でもあった。