14 寄り道
とりあえず、目的としていた三カ所を回り、二人は帰り支度を始めた。
「あ、あのさ、Xくん――帰りにちょっと、寄り道して良いかな?」
「奇遇ですね。僕も、ちょっと寄りたい所があると言いたかったんですよ」
二人はマップを見て、寄り道の場所をお互い指さした。
幸い、二人の寄り道の場所は近い位置にあるらしく、今の場所から事務所に戻るまでにはXくんの行きたいところを回って、その後に卯月の行きたい所を通り、戻った方が近かった。
「じゃあ、Xくんの所を通って、私の所に寄って、戻るって事で」
「いや、ちょっと遠回りになりますけど、卯月さんの所を先にって事で……」
「え?何で?」
「その方が都合が良いんですよ」
「ふーん……まぁ良いか……じゃあ、それで……」
卯月の寄りたかった所――それは、幻の畑とされるモンスターが作る畑で、モンスターエデンと呼ばれている場所だった。
ここは既に、試験期間中にきていた場所だったので、開拓冒険とは言えなかったが、
「この畑で作られる怪物芋――名前からすると大きいイメージがありますけどね……とてもちっちゃいんです。そのお芋……幼馴染みの大好物なんですよ――だから、ここへ来た時は少しだけ、お裾分けをいただいているんです」
幼馴染みとは根角の事だ。
(覚えていたのか……)
Xくんはそう思った。
「――1つ、いただいて良いですか?」
「はい、どうぞ、ふかすとおいしいですよって、それ生ですよ…」
「生でもね…結構いけるんですよ…栄養学的には駄目なんですけどね(笑)」
Xくんは、美味しそうにゆっくりと噛みしめた。
そして――
「ありがとう……嬉しかった」
と言った。
「いえ、どういたしまして――どうしたんですか、ちょっと涙声みたいな感じですけど?」
「何でもありません――それより、そろそろ良い頃合いです。僕の方の寄り道に付き合ってもらえますか?」
「はい、良いですよ」
そう言うと、ここからそう遠く無いXくんの指定した場所に歩いて向かった。
道中――
「……本当はね、僕は今回だけにしようと思っていたんですよ――貴女と冒険をするのは」
「そう……ですか、それは残念です――冒険、とても楽しかったですから……出来ればまた……と私は思っていたんですけど――」
「僕もですよ」
「え?」
「僕も貴女と一緒に冒険がしたいです。僕もとても楽しかった。だから、お別れするのをやめました」
「はい?あの……意味が……?」
「僕は訳あって、まだ、覆面を外せません。こんな僕でも、一緒に居て良いですか?」
「……はい。こちらこそよろしくお願いします」
「覆面は来るべき時が来た時には外します。それまで待っててくれますか?」
「外したくないという人から無理矢理、取ろうとなんて思いませんよ。外しても良いと思った時に取ってください」
「……ありがとう――着きました――ここが、僕が寄りたかった所です」
「え?――わぁ……」
卯月が見たのは森の隙間から見える夕日だった。
特別に美しいという訳でもない。
でも、この光景は見たことがあった。
小さい頃――
写真でだ。
根角がどこかで写して来た写真の場所にそっくりだった。
小さい頃、その場所に連れて行け、連れて行けとだだをこねた事もあった場所の一つだった。
「ねず……ちゃん……なの……?」
卯月がつぶやく……
さすがに鈍い卯月でも、次第にXくんの正体に気付き始めた……
頬に涙がつたう……
生きていた――
生きていてくれた……
会いに来てくれた……
「うぅ」
嬉しさのあまり嗚咽が漏れる。
だが、訳あって顔を隠しているという事を思い出し、Xくんに話を会わせる。
「え、Xくん……こ、ここは……?」
「ここは、昔、幼馴染みがこの場所を移した写真を気に入って、ここに連れてけ、連れてけときかなかったんですよ。だから僕はこう言ってやりました」
「お前が、クエスト・ガイドになれたら連れてってやるよ」
「……えぇ……そうです」
「その人……立派なクエスト・ガイドになれましたかね?」
「えぇ……なれたと思います。少なくとも僕はそう信じていますよ」
「ありがとう……うぇぇ……ほんどぅにありがとう……」
「泣くような事は、僕は言ってませんよ」
「そ、そうですよね……えへへ、すみません……」
「夜も近いし……帰りましょうか」
「はい……」
こうして二人の寄り道は終わり、事務所へと帰路についた。
とりあえず、目的としていた三カ所を回り、二人は帰り支度を始めた。
「あ、あのさ、Xくん――帰りにちょっと、寄り道して良いかな?」
「奇遇ですね。僕も、ちょっと寄りたい所があると言いたかったんですよ」
二人はマップを見て、寄り道の場所をお互い指さした。
幸い、二人の寄り道の場所は近い位置にあるらしく、今の場所から事務所に戻るまでにはXくんの行きたいところを回って、その後に卯月の行きたい所を通り、戻った方が近かった。
「じゃあ、Xくんの所を通って、私の所に寄って、戻るって事で」
「いや、ちょっと遠回りになりますけど、卯月さんの所を先にって事で……」
「え?何で?」
「その方が都合が良いんですよ」
「ふーん……まぁ良いか……じゃあ、それで……」
卯月の寄りたかった所――それは、幻の畑とされるモンスターが作る畑で、モンスターエデンと呼ばれている場所だった。
ここは既に、試験期間中にきていた場所だったので、開拓冒険とは言えなかったが、
「この畑で作られる怪物芋――名前からすると大きいイメージがありますけどね……とてもちっちゃいんです。そのお芋……幼馴染みの大好物なんですよ――だから、ここへ来た時は少しだけ、お裾分けをいただいているんです」
幼馴染みとは根角の事だ。
(覚えていたのか……)
Xくんはそう思った。
「――1つ、いただいて良いですか?」
「はい、どうぞ、ふかすとおいしいですよって、それ生ですよ…」
「生でもね…結構いけるんですよ…栄養学的には駄目なんですけどね(笑)」
Xくんは、美味しそうにゆっくりと噛みしめた。
そして――
「ありがとう……嬉しかった」
と言った。
「いえ、どういたしまして――どうしたんですか、ちょっと涙声みたいな感じですけど?」
「何でもありません――それより、そろそろ良い頃合いです。僕の方の寄り道に付き合ってもらえますか?」
「はい、良いですよ」
そう言うと、ここからそう遠く無いXくんの指定した場所に歩いて向かった。
道中――
「……本当はね、僕は今回だけにしようと思っていたんですよ――貴女と冒険をするのは」
「そう……ですか、それは残念です――冒険、とても楽しかったですから……出来ればまた……と私は思っていたんですけど――」
「僕もですよ」
「え?」
「僕も貴女と一緒に冒険がしたいです。僕もとても楽しかった。だから、お別れするのをやめました」
「はい?あの……意味が……?」
「僕は訳あって、まだ、覆面を外せません。こんな僕でも、一緒に居て良いですか?」
「……はい。こちらこそよろしくお願いします」
「覆面は来るべき時が来た時には外します。それまで待っててくれますか?」
「外したくないという人から無理矢理、取ろうとなんて思いませんよ。外しても良いと思った時に取ってください」
「……ありがとう――着きました――ここが、僕が寄りたかった所です」
「え?――わぁ……」
卯月が見たのは森の隙間から見える夕日だった。
特別に美しいという訳でもない。
でも、この光景は見たことがあった。
小さい頃――
写真でだ。
根角がどこかで写して来た写真の場所にそっくりだった。
小さい頃、その場所に連れて行け、連れて行けとだだをこねた事もあった場所の一つだった。
「ねず……ちゃん……なの……?」
卯月がつぶやく……
さすがに鈍い卯月でも、次第にXくんの正体に気付き始めた……
頬に涙がつたう……
生きていた――
生きていてくれた……
会いに来てくれた……
「うぅ」
嬉しさのあまり嗚咽が漏れる。
だが、訳あって顔を隠しているという事を思い出し、Xくんに話を会わせる。
「え、Xくん……こ、ここは……?」
「ここは、昔、幼馴染みがこの場所を移した写真を気に入って、ここに連れてけ、連れてけときかなかったんですよ。だから僕はこう言ってやりました」
「お前が、クエスト・ガイドになれたら連れてってやるよ」
「……えぇ……そうです」
「その人……立派なクエスト・ガイドになれましたかね?」
「えぇ……なれたと思います。少なくとも僕はそう信じていますよ」
「ありがとう……うぇぇ……ほんどぅにありがとう……」
「泣くような事は、僕は言ってませんよ」
「そ、そうですよね……えへへ、すみません……」
「夜も近いし……帰りましょうか」
「はい……」
こうして二人の寄り道は終わり、事務所へと帰路についた。