13 第三の開拓冒険

 三番目の開拓冒険は、ボスのいる危険な場所だった。
 クエスト・ガイドの仕事はボスの確認とそこに巣くうモンスターの確認が主な仕事だった。
 卯月の好みから言えば、この仕事が一番やりたかった仕事でもあった。
「さぁ、かかってきなさい、モンスター」
 目がメラメラと燃えている。
 序盤からやる気満々と言った所だった。
「卯月さん――言っておきますけど、我々の目的はモンスターを倒す事ではありませんよ」
「え?違うの?」
「もはや、天然ですね――モンスターやボスを倒すのは冒険者の仕事です。我々が倒してどうするんですか?」
「そうなの?なんかちょっと、がっかり――」
「モンスターを倒したかったら冒険者になって下さい。我々の目的はモンスターやボスの生態調査、及び、お宝の所在の有無の確認などです」
「えぇ――そうなの?」
「惚けてるんですか?今、あなたを合格させた事をちょっぴり後悔しましたよ」
「わ、わかってますよ。冗談です。冗談。本気にしないでくださいよ~」
「――どこまで冗談なんだか――」
「えへへ……」
 笑って誤魔化す卯月だったが、本当は知りませんでしたと顔に書いてあった。
 だが、こんな所でもめていても仕方なかった。
 卯月はXくんと第三の開拓地に住むモンスターを調査し始めた。
 この場所は湿地地帯で地面がぬかるんでいて、かなり歩きにくかったため、足をとられ、モンスターに攻撃されそうになったり、結構危ない場面もあった。
 だが、これこそ冒険!と俄然、やる気になる卯月だった。
 Xくんとの見事な連携で危険を避けて来て、無事にボスの間までたどり着いた。
 ボスは三つの首を持つオオトカゲだった。
 この地方の固有種らしい。
 大きい。
 体長は12メートルと言ったところか。
 ボスの右側の首がファイヤーブレスを噴いた。
 卯月は華麗な身のこなしでそれを避けると
「ボスの属性は火と……」
 とつぶやいた。
 するとXくんが叫んだ
「違う、来るぞ!左!」
「へ?うぁ――って、危ない」
 ボスの左側の首がコールドブレスを噴いたのだ。
 属性は単純に火という事では無いらしい。
 右側が火で左側が氷……
 だとすると、中央の首も何か別の特性を持っている可能性がある。
 卯月はそう予想した。
ビカッ!ガラガラガラ
ドカン
 卯月の予想通り、中央の首からは別の属性、サンダーブレスが来た。
 そして、
「卯月さん、もう良いです。大体わかりました。後は、お宝を確認して帰りますよ」
 Xくんが、撤収の指示を出す。
「え~もう?これからが良いところなのに……」
 卯月は何故か、残念そうだった。
 だが、ボスは簡単には帰してくれなかった。
 執拗に卯月を追いかけ回す。
「ちょっ、ちょちょちょ、ちょっと待ってぇ~もう、しない、何もしないってば~見逃してぇ~」
 卯月は逃げ回る。
 その隙に、Xくんはお宝の所在を確認し、
「こう、するんです!」
 と左側の首を右側の首の方に蹴り飛ばした。
「ぐぎゃぁぁぁぁぁぁっ!」
 大きなうなり声をあげるボス。
 左右の首の属性は反属性にあたり、接触すればダメージを与える事ができるとふんだのだ。
 だから、ずっと中央の雷属性の首を基準にして、右の首は左に、左の首は右に決して向かなかったのだ。
 Xくんはそれを冷静に判断して、機転を利かせたのだ。
 冒険に関しては卯月よりXくんの方が一枚も二枚も上だった。
 彼女とは役者が違うといった感じだった。
「すごい、倒したの?」
「違います。倒してません。あの程度で倒れるならボスとは言いません。反属性同士、接触させて、ちょっとショックを与えただけです。長居は無用です、逃げますよ」
「あ、はい」
 二人は第三の開拓地を後にした。