07 合格出来た訳

 6人姉妹が全員、合格出来た訳。
 それはもちろん、本人達の努力もあるが、根角のお陰でもあった。
 訳あって正体を隠さなければならなかったが、審査官に成り代わって師走の妨害工作を食い止めていたのだ。
 だから、最後の第三試験は正統な評価で査定された。

 とは、言えそれまでの第一、第二試験では妨害工作のために苦戦を強いられている。
 にも関わらず、高得点を出して合格出来たのはやはり根角との思い出が大きかった。

 冒険に出るため、人並み以上の努力を続けている彼に触発されて、姉妹達も努力を始めた。
 そして、努力の成果を見てもらおうと根角の前で姉妹達はその腕前を披露した。
 結果は全然、駄目だと評価された。
 ちょっとした冒険に出るためになら、それもありだけどパイオニア(開拓者)になるには全然レベルが足りてないと評価したのだ。

 姉妹達はブーイングをした。
 ちゃんと努力をしているのに……と。
 その時に根角はこう言ったのだ。

 【他の人間もやっているような事をやっている事を努力と呼ぶのであれば、その人は一生、飛び抜ける事は出来ないだろうな…】
 と。
 これは、根角の愛読書【ファーブラ・フィクタ】という物語の主人公、芦柄 吟侍(あしがら ぎんじ)が登場している少女に向かって言った言葉の受け売りでもあった。

 作中では天才的な才能を発揮する吟侍に対して、嫉妬し妬んだ少女が彼に嫌がらせをしたのだが、吟侍はすぐに犯人である少女を突き止めてしまった。
 少女は逆ギレし、何でも出来る天才に一生懸命、努力しても上手くいかない人間の気持ちなんかわからないと言った。
 その時、吟侍は
「おいらは別に天才じゃないよ」
 と言って前述の言葉を言ったのだ。
 そして、補足するように説明を続けた。
 吟侍の人生は、人と同じ事をしていたら生き残れなかった。
 だからこそ、人がやらない努力を人が思いつかない工夫をし続けるしかなかっただけだ。
 結果は、後からついてきた。
 それだけやっても全く、敵わない者(クアンスティータ)もいる。
 挫折を味わっているのはあんただけじゃない。
 というものだった。

 言われて見れば、確かにそうだった。
 人と同じ事をしていても人より優れる訳がない。
 人のやらない事をコツコツとやり続けた者だけが、その栄光を掴む事が出来るのだと。
 例え、成功しなくても、確実にスキルはアップしていて、次につなげる事が出来る。

 その事があったから姉妹達は他のクエスト・ガイドには無いサービス等を工夫し考えた。
 卯月の試験の時に、最初のモニターが冒険に出るのにふさわしくないとテストをして判断して冒険を取りやめたのもその内の一つだ。
 独自のサービスを加えたからこそ、姉妹達は第三試験で他のクエスト・ガイドよりも高得点をたたき出すことが出来たのだ。

 姿は見えなくても、いつだって、彼は卯月達姉妹の道しるべになってくれる。
 根角はそんな青年だった。