04 試験状況

 卯月は何とか3つ目の試験にまで進んでいた。
 他の姉妹達も同じ様な目にあっていた様だが、父、師走の妨害工作があり、一つ目の試験は他の受験生より2、3割以上難しい問題が選出されていた。
 これは、カンニングが出来ないようにと受験生、全員の試験内容が違うという事を逆手にとって、娘達の合格率を下げるためにわざと難しい問題やイジワルな引っかけ問題を多く出して来ていたのだ。
 二つ目の試験も判定員の一人が師走の息がかかった人間で、娘達にかなり辛口の評価を下していたのだ。
 これは、師走の会社が大口のスポンサーだったから出来た事だった。
 そのせいで、娘達はみんな、ぎりぎりの通過がやっとだった。
 三つ目の試験では卯月に至っては、920点以上取らないと合格ではないという厳しい条件となってしまった。
 大体の受験者が第一試験と第二試験で点数を多めに取って第三試験の接客試験で800点ぎりぎりの点数で合格する感じになっていたからだ。
 不可能では無いが、それでも相当、確率の低い合格率だった。
 最終試験の日付はランダムに決められ、娘達の試験日はみんなバラバラだった。
 卯月は一番最後の試験日だった。

 聞いていると、次々に姉妹達が試験を合格したという報告を受けた。
 下手をすると自分だけ不合格?
 そんな不安が心をよぎっていた。
 と言うのも他の姉妹は第三試験では850点~870点くらい取れば合格ラインに達する状況だったからだ。
 卯月は920点を取らないと合格にはならない――
 モニターはどんな人達が来るかどうかもわからない――
 自分だけ不合格でもおかしくない状況だった。
「――審査官の人、遅いな……」
 審査官はどうやら到着が遅れているらしく、卯月は心配していた。
「へ、へへ……君ぃ可愛いねぇ……」
 卯月と一緒に待ち合わせをしていた一人目のモニターがいやらしい顔つきで彼女を見ていた。
 ゾッと悪寒がしたが、商売なので、そんな事はおくびにも出さずに平然を装った。
 まさか父の差し向けた人間?とも思ったが、愛する娘にこんな人間を送り込む訳はないと思い直した。
 師走は娘達に危険な仕事に就いて欲しくないだけで、嫌がらせをしたいという訳ではないのだ。

「――お待たせしました――さぁ始めましょうか――」
 遅れていた審査官が到着した。
 フードを目深にかぶり、天狗のお面をしている…。
 見るからに怪しい出で立ちだった。
 胸元のバッチを見ると…
「あっ…」
 卯月は声を漏らした。
 審査官の胸には九歴コーポレーションのバッヂが…。
 父の回し者が審査官――
 そう思った卯月は自分が不合格になってしまう事を意識した。