弱者はそれだけで、近づいてすらこない。
 弱いからこそ、証明が必要になる。
 弱いからこそ、自分は強いんだという衣が必要になる。
 強さを求めるという事は弱さの裏返し、不安の裏返しでもある。
 自分は他の誰かより強いと思いたい、思わせたいからこそ、戦いを挑む。
 だが、強さを極めて行くにあたってぶち当たる壁が上の方には存在する。
 それまで鍛えて来た事、付け加えて来た事が全く意味をなさない圧倒的な壁にぶち当たるのだ。
 その時、絶望的な自身の弱さを自覚する。
 自覚するが、それまでの自分とは明らかに別格の力も手にする。
 が、その手にした力も目の前にある圧倒的な壁の前には虚しさとなって帰ってくる。
 本当の強者の世界はやったもの勝ちだった。
 先に手を出した方が、全てを破壊出来る。
 だが、先に手を出すことに何の意味がある。
 勝ったかも知れないが、我慢が出来なかったという敗北感も同時につきまとう。
 やってしまったら終わりの事に何の意味がある。
 強者はその虚しさを知っている。
 だから、他の存在への干渉を極力しない。