サクリファイス・エンジェル計画――それは、別名、乙女の生け贄計画とされる非人道的計画だった。
 異形の物体に進入して核に接触するというのは変わらないが、進入するのは眠りに就いている乙女と同じ少女なのだ。
 この計画は進入した少女が核になっている少女の変わりに核となり、眠りについている乙女を核の中から追い出す。
 そして、変わりに核となった少女は自力で、脱出するか、死を選ぶというものだ。
 人類のためというお題目のため、罪もない少女が犠牲になるという非人道的計画だ。
 成功率も【キス・オブ・プリンス】と比べて、極めて低いとされる最悪の計画だった。
 柾稀は世界政府のために働く気持ちはさらさらなくなったのだが、それでもそのために、罪もない少女が犠牲になるのは今は亡き恋人が悲しむと思ったから、【キス・オブ・プリンス】の計画を統吾に託す事を選んでいた。

 全ては、人類の悪行が招いてしまった天罰ではあるが、それでも黙って殺される訳にはいかない。
 不幸の連鎖を断ち切るのは適応率の極めて低い、不器用な少年の手にゆだねられるのだった。

 異形の物体サモン・シンボルは残り百八体。
 助ける乙女も百八人。
 二代目【キス・オブ・プリンス】の戦いが始まる。