更に最悪な状態にしたのは、柾稀の恋人の死を隠し、更なる任務を次々と与えて誤魔化していたことだった。
 彼が恋人の死を知ったのは四十九日を過ぎてからの事だった。

 真実を知った柾稀は激怒。
 その時、やっていた七十六番目の任務を最後にもう任務はやらないと言った。
 彼にとっては、世界の危機よりも恋人の死の方がショックだったのだ。
 世界政府としては、残り百八体もある状況での任務の放棄は滅亡への道と同意義だった。
 なんとしても、説得し、任務に復帰して貰いたかったが、彼は決して首を縦には振らなかった。

 苦肉の策として、彼に後継者を育てて欲しいと依頼した。
 柾稀は渋々了承したが、彼が指名したのは、なんと、適応率一・三パーセントの少年だった。
 もっとふさわしい人間はいくらでもいるという世界政府に対し、柾稀は彼で無ければ、認めないと言った。
 そう、その少年の適応率は一・三パーセント。
 柾稀の九十八・七パーセントと足すと丁度、百パーセントになるのだ。
 柾稀はその少年に自分に欠けてしまった何かを埋めてもらいたいと思って、使命したのだ。
 適応率の高い低いは関係ない。
 欠けたものを補えるものなら何でも良かったのだ。