だけど、何かが引っ掛かった。
 それは命だ。
 その女の子を守るためには、自分は命を賭けなくてはならない。
 敵は人間ではないのだから。
 ぶっ飛ばして自分には勝てないと示して終わりという訳にはいかないのだ。
 当然、殺し合いになる。
 人を殺した経験もない自分が、まして、人外の怪物を相手に戦えるのか?
 経験していない事をする事になる、その事に対する不安もぬぐえなかった。
 普通ならやらない。
 他人のために、そんな事をやるいわれは一切ないからだ。
 だけど、夢の中の女の子は違う。
 自分が守ってやりたい。
 彼女は逃れられない運命にまとわりつかれている。
 黙って見過ごしたら彼女は殺されてしまうだろう。
 それだけは嫌だ。
 だから、自分は戦わなくてはならない。

 神唯はまだ、出会ってもいないその女の子の事が自分の行動の全てを決めると確信していた。
 その女の子は近いうちに自分の目の前に現れる。
 現れたら、そのまま戦いが始まってしまう。
 そうしたら、周りの人間を巻き込んでしまう。
 だから、授業には出られない。
 落第したっていい。
 退学だってかまわない。
 気兼ねなく、自分がその冒険に足を踏み出すにはなるべく人は居ない方が良い。
 そっとで良い。
 そっと消えよう。
 神唯はそう考えていた。