――ガチャガチャ――

 そう、呼ばれるもので手にしたものであるらしい。
 そして、それにはそれの特別な世界も存在するらしい。
 ガチャガチャチャンピオンシップ――
 そう呼ばれる大会があり、出場者はお小遣い三百円を手に参加するらしい。
 勝負は運。
 ただ、それだけ。
 選手は百数十台のガチャガチャの中から好きな所でカラー消しゴムの入ったカプセルを一回出すことが出来る。
 レフェリーとなるのはその場に居たギャラリー。
 選手達はギャラリーの歓声により、その出てきたカラー消しゴムの優劣を競う。
 負けた者は相手にカラー消しゴムを渡さなくてはならない。
 非情なる一発勝負。
 それが、ガチャガチャチャンピオンシップだ。

 その世界大会ともなれば、七百円を手に五千台以上のガチャガチャでの一発勝負をするという。
 出てくる消しゴムフィギュアはそれぞれ専用のプロの細工師さんが、元手七百円で出来る世界でただ一つの品物だと言う。
 世間的には白い目で見られがちなその世界で、弟は世界屈指の選手であると言う。
 彼が世界大会で引き当てた十二体の消しゴムはオリンポスの十二女神と呼ばれているらしい。
 その弟の戦利品である世界で唯一の見事な消しゴムのフィギュア達が所狭しと部屋の中に飾られていた。
 姉はその世界に魅せられていた。