そして、理不尽な思いを憎むという感情があるのなら、妹を助けて欲しい。
 妹は正義感が強く、何でも突っ走ってしまう正確だから、悪い人に狙われやすい。
 守ってあげる事が出来なくなった自分の代わりに妹を導いて欲しい。
 そう言いながら、胡桃の姉は愛する夫と共に、追っ手が放った火の中に消えた。
 その時、仙硬は誓った。
 自分の名前と今までの経歴を全て捨てて、胡桃のために生きようと。
 そして、胡桃の姉からの情報の元に胡桃の前に現れた。
 自分に名前は無い。
 ただ、亡くなったお姉さんのために線香をあげさせてもらいたい。
 お姉さんに貰った恩を返したいから、勝手に守らせてもらう――
 そう告げて、胡桃の警護を始めた。
 胡桃は迷惑がっていたが、仙硬はただ見守り続けた。
 案の定、胡桃には敵が多く、多くの嫌がらせを受けていた。
 仙硬はただ、それを秘密裏に対処していった。
 しばらくした時、その対処が胡桃に見られた。
「あんた、何してんの……」
 胡桃の第一声はこれだった。
 ただのつきまといだと思っていた仙硬がずっと守っていてくれていた事を知った時の言葉だ。
 だが、この事が切っ掛けでただのつきまといだと思っていた仙硬の事が気になりだした胡桃は彼の名前を尋ねるがやはり無いとの返答だった。
 その時、
「あんた、たしか、お姉ちゃんの線香をあげたいって言ってたわね。じゃあ、あんたの名前は線香。線に香じゃ縁起悪いから、仙人に硬いで仙硬、お堅いあんたにはぴったりの名前ね」
 と彼の名前をつけた。
 それから一気に二人の距離は縮まった。