今まで、散々、人に嫌われる様な事をして過ごしてきた。
 人もたくさん殺した。
 そして、多くの英雄達に狙われる身となり、追い詰められた。
 どうしようもなくなった時、死を覚悟した。
 自分の生き様はこんなもんだと諦めもした。
 だが、そんな自分に救いの手を伸ばした存在がいた。
 胡桃の姉だ。
 ろくでなしだった、自分を介抱してくれ、一生懸命人の道というのを説いてくれていた。
 仙硬は傷が癒えるまで、大人しくしていて、傷が治ったら、この姉を殺してしまおうと考えていた。
 だが、胡桃の姉はそれを見抜いていた。
 見抜いていた上で、傷が治るまで、追っ手からかくまってくれていた。
 そして、その結果、自分が愛していた者共々、追っ手によって殺害された。
 胡桃の姉は死の間際、仙硬の姿形を変える魔法をかけた。
 仙硬が改心出来ないのは人々から憎まれ続けて来たその姿形があるからとして、胡桃の姉はずっと、相手を変化させる魔法を習得するために努力を重ねてきたのだ。
 その事実を知った時、心まで凍っていたはずの仙硬の目から涙がこぼれた。
 初めて胡桃の姉を殺した追っ手を憎いと思った。
 負の感情とは言え、初めて他人を想うことが出来た。
 胡桃の姉の仇をうとうと動き出した仙硬を止めたのはいまわの際の状態だった彼女自身だった。
「おめでとう。相手を想う事ができたね」
 彼女はにっこりと笑い、そう言った。