「解った。だけど、僕は父さんが嫌いだ。家族をこんなに不幸にして。死んでせいせいしてるよ」
「そんなこと言わないで。父さんは寂しかった人。人の愛し方が解らなかった。それだけの人」
「父さんが余計なもの考えたりするから家族が不幸になったんだ」
「余計なものじゃない。父さんの知識で助かった命もたくさんあるの」
「他人をいくら助けたって仕方ないじゃないか。家族が……」
「違うわ。父さんが悪かった訳じゃない。人は弱いから便利なもの、強い者にすがってくる。父さんは人に頼られるものを考えた人。そこは誇って良い事よ。人間は便利なものでも使い方があまり上手じゃないの。不幸だと考えるのは上手に使いこなしてないからよ。知識というものは上手く使えば、良いものなのだから」
「僕には解らないよ」
「少しずつ理解していって。男の子だもんね。少し冒険した方が良い。冒険して多くの事を学んで来なさい。そして、父さんを超えるような良い男に育ってね。母さんは、姉さんはそれが一番嬉しいわ」
「母さんは何でいつも父さんの肩を持つんだよ?父さんが考えたもののせいで……」
「なんのせいでという考えはいけないわ。何のお陰でという考え方に変えなさい。何かのせいにしていたら、人は成長できないわ。何かのお陰で何が出来た。そう考えなさい。そうすることで見えてくる世界もあるわ」
「母さんの言うとおり姉さん達を探してくるけど、僕は父さんを認めない。姉さん達は間違った事をしたわけじゃない。父さんはあの時……」
 死ぬべきだったと言いかけてフェリクスは口ごもった。
 アンジェリーヌの悲しそうな顔が目に映ったからだ。