巨大なパワーを持っていたが故にアンジェリーヌは死ぬことは免れたが、実の娘との間の禁断の行為に対して、アンジェリーヌの妹達は過剰に反応し、父、バティストを殺害してしまった。
 そして、その事が切っ掛けで妹達は散り散りに出て行った。
 母、アンジェリーヌにとって、愛する妹達の幸せを奪ってしまったのは自分と父親であり夫となったバティストであるという罪の意識が残った。
 そのため、いつかバラバラになった家族を一緒にしたいというのが、彼女の心からの願いでもあった。
 だが、その願いを叶える事は今のアンジェリーヌには不可能だった。
 彼女は下半身不随になってしまったからだ。
 彼女にとっての不幸はバティストの死と妹達との生き別れだけではすまなかった。
 バティストの知財を巡って、さまざまな組織が息子、フェリクスを狙って来たため、彼女は愛息を守るために必死で戦わざるを得なかったからだ。
 生前、バティストは自身の力を息子に移すと触れ回っていたからフェリクスが何かを得ていると考えた組織が彼を狙いだしたのだ。
 その戦いの最中、彼女はフェリクスを守るために、背中に大きなダメージを負い、下半身が動かなくなった。
 だが、不幸中の幸いか、アンジェリーヌは例え一人になっても自分の身は自分で守れるように、フェリクスの事を鍛え上げていた。
 だから、動けなくなった今、希望を息子に託そうとしていた。
「僕が姉さん達を探しに行ったら母さんはどうするんだよ?」
「私は大丈夫。私だって、父さんの娘よ。多少、身体が不自由になったくらいで、生活が出来なくなるような事はないわ」
「だけど、刺客とか来たら……」
「刺客は、あなたを狙っているの。私じゃないわ。出来れば、あなたを守ってあげたいけど、一緒に居れば、私はあなたの足手まといになる。だから、別々に行動するの。あなたには私の出来る限りの技能を教え込んでいる。その力で私の妹達、あなたのお姉さん達を探し出して欲しいの。お願い」