第一章 俺もそっちの世界へ

「聞いてくれ、実は――」
 俺は友人達に夢の中で起きた事を話した。
「そうか、お前もとうとうそっちの世界の住人になったか」
「ゴメンな、俺、お前と友達やっていく自信がなくなったわ」
「【でみちゃん】と付き合ったら?」
 という様に友人達の反応は冷たかった。
 俺が今まで、【でみちゃん】に対して向けていた感情をそのまま、向けられたような感じだった。
 俺もとうとうそっちの世界の住人として、端に追いやられる時が来たのかと思った。
 そう思うと何だかムカムカしてきた。
 その怒りを【でみちゃん】に文句の一つでも言ってぶつけてやろうと思って彼女に話したら――
「そんな事で無くなるような薄っぺらい付き合いをしていたのか?」
 と言われた。
 ズキッっと響いた。
 俺は何てつまんない人生を歩んで来たんだろうか?
 そう思った。
 俺は今まで、普通の人間と思われるように努力してきた。
 いや、努力したというのは違う。
 人と違う事をする事に臆病になっていたんだ。
 人と外れる事が怖くて、人に合わせて生きて来た。
 そして、ちょっと変な事があっただけで、省かれるような本当に薄っぺらい友達付き合いをしていた事を思い知った。
 そして、俺は何て弱いんだ。
 人と違うというレッテルを貼られる事がこんなにも怖いのか?
 ひとりぼっちでも自分を通してきた偕楽の方がずっと強い人間だ。
 そう思った時、俺は信じられない言葉を口にした。
「あ、改めて契約したい」
 何でこんな台詞を吐いたんだ。
 言った自分が信じられなかった。
 半ば、自暴自棄になっていたというのもある。
 一人になるくらいなら偕楽と――
 そう思ったんだ。
「君ならそういうと思っていた。ようこそ、こちらの世界へ」
 そういう偕楽は鷲鼻付き鼻眼鏡を取って微笑んだ。
 ありがちな、お約束かも知れないが、素顔の彼女は可愛かった。
 すんごく可愛かった。
 それこそ後楽にも引けを取らないくらいに。
 後楽に偕楽――
 こっちの世界には俺好みの女の子が二人もいたのか……。
 そう思うと少し気分が楽になった。