偕楽 芽吹――
 ぼさぼさ頭に魔女の様なワシ鼻のオマケ付きの鼻眼鏡をした学校一の変人だ。
 みんなは最初はウィッチとか魔女とか呼んでいたけど、本人が否定、自分は造物主デミウルゴスだと言い張ったため、ニックネームは【でみちゃん】になった。
 友達は当然居ない。
 色気もゼロ。
 とても恋愛対象にはなりそうにもない相手だ。
 が、どうやら、俺は彼女に好かれてしまったらしい。
 理由は落ちた消しゴムを拾ってやっただけなのだが――
 ちょっと、頭に消しゴムを乗っけて
「落ちてたぜ」
 と言っただけなんだが、彼女にとっては何らかの契約が成立したらしい。
 以来、彼女からの視線を度々感じるんだけど、俺は知らんぷりしている。
 関わりたくないからだ。
「契約者、しょーすけ、契約者、しょーすけ」
「俺は契約者じゃないって言ってるだろうが」
 彼女から声をかけられるが同じ人間だと思われたくない。
「そんなことはない。君はこのデミウルゴスと魂の契約を果たしたのだ」
「してねぇって」
「契約のティアラをつけてくれたではないか」
「消しゴムじゃねぇか、あれは」
「いや、そうではない。リアル世界では消しゴムでも、我が世界においては立派なティアラなのだ。見ろ、ここにティアラという文字が」
「あんたが書いたんだろうが」
「そうだ。この消しゴムには我が力の契約の印として――」
「消しゴムっつってたじゃん」
「消しゴムではない。ティアラだ」
「もう……好きにしてくれ」
「あぁ好きにする。では契約者しょーすけよ。私にはライバル、デモゴルゴンとの戦いを必ず勝利しなくてはならない」
「あーはいはい」
「協力してくれ」
「するか、ボケ」
「そうはいかん。君は私と契約したのだ。契約を破れば血の粛清が」
「あー解った、解った」
 俺は反論するのも馬鹿馬鹿しいので適当に話を合わせた。

 そうこうしている内に授業が始まり、俺は睡眠タイムに突入した。
 俺は、数学の授業を子守歌代わりにウトウトと夢の世界に誘われて行った。