「え、Xくんさん…」
「あぁ、立場は貴女の方が上なので、Xくんで良いですよ」
「じゃ、じゃあ、Xくん…あの、何処行きます?開拓冒険」
卯月はXくんに最初の開拓冒険の行き先を相談する事にした。
まずは開拓冒険に出ないとサービスが始められない。
他の会社の様に人海戦術で一度に複数の開拓冒険に出ることも出来ないので、一度に2、3カ所くらいは回りたい所だった。
「…そうですね…卯月さんも経験が浅いので比較的、近場の開拓をお勧めしますよ。慣れて来てから徐々に遠方の地にも足を踏み入れて行く…それが妥当ではないかと…」
「そ、そうね、私もそう思います。遠方に一カ所回るより、近場で2、3カ所回って行ける場所を増やしたいし…」
「僕はまずは、ここをお勧めします」
「ここ…ですか?」
「はい、ここです。このあたりはビーチとして適した場所がありますからね。近場へ行く事になる冒険者達の多くはたいがい冒険とは名ばかりのリゾート地探索気分の方が多いですからね。サービスの一環としてここはまずおさえておくべきかと…」
「リゾート気分…何か私の思い描いていたのと違うような…」
「と言いますと?」
「何かこう、危険と隣り合わせのワッと来てガッと返すみたいな…」
「それは、むしろ遠方の冒険に多いでしょうね。近場ではそれほど危険な場所というのはあまり無いかと…でないと人が安心して住めませんし…」
「う~ん…」
「…近場と言っても全く危険が無い訳ではありませんよ。だからこそ僕達が最初に安全を確認するんじゃないですか…」
「そ、そうね…」
「誰かがやらなきゃいけない仕事ですよ。選り好みは良くないと思いますけど?」
「そ、そうでした。ごめんなさい。反省してます」
どうも卯月は頼りなかった。
これではどっちが責任者だかわからなかった。