(林田(はやしだ)の奴、後で覚えてろ…)

 行成は出し抜いた友人を逆恨みした。

 だが、その友人、林田はその後、行方をくらまし、誰も見た人はいなく、知らない内に大学も退学していた。

 しばらくしてから、行成は夢を見た。

 林田と和那が幸せそうにしている夢だ。

 夢の中とは言え、行成は嫉妬に狂った。

 そして、その夢は毎晩見るようになっていた。

 行成には彼女がいる…。

 川上 柚璃(かわかみ ゆずり)という彼女が…。

 元々、柚璃に惚れた行成が何度もアタックしてやっと彼女に出来た女の子だ。

 釣った魚になんとやらで、柚璃を彼女にしたとたん、行成の態度はころっと変わった。

 手に入らない女の子を欲しがり出したのだ。

 そして、今の気持ちも柚璃から和那に移りつつあった。

 完全に和那へ気持ちが移った時、彼には死が待つとも知らずに…

 夢の中では、和那は偽名を使っていることになっていた。

 彼女の本名を言い当てる事が出来れば、和那は行成の元にやってくる。

 そう、囁かれていた。

 だから、行成は毎日夢の中で彼女の本名だと思う名前を連呼する。

 連呼する度に、何故か、柚璃に対する気持ちが薄れていく様な気がした。

 と同時に反比例するかの様に和那の本名に近づいている気がした。