里桜達はパンドラの痕跡を探したが、何処にも見あたらない…。

 パンドラとついた物も無ければパンドラという女の気配もない…。

 これでは、水面が言うパンドラの呪いにかかっている見たいだという事を疑わざるを得なかった。

「そんな事ないよ、良く見てよ」

 水面は里桜達に食い下がる。

「…良く見たけど、何処にもおかしいところは…」

 リーダー格の松村 榮一郎(まつむら えいいちろう)も首をかしげざるを得なかった。

 そう、このパンドラの呪いは見えないという所が特徴だった。

 口笛を吹くことによって、呪いの症状が悪化する。

 口笛を吹かないと呪いの症状が消える…。

 まだ、呪いの力の弱い【パンドラの告白】までなら、霊能者達はその呪いを見抜く事が出来る。

 だが、拓人の呪いは【パンドラの抱擁】にまで進んでいた。

 【パンドラの抱擁】になったことによって、呪いは隠密性の特性を身につけた。

 拓人が出会った男性もこの隠密性の特性を得ていたため、男性の症状がおかしいとは傍目にはわからなかったのだ。

 【パンドラの抱擁】を吹くようになったことで、拓人の呪いは見えづらくなると共に、新たなる犠牲者を惹き付ける魔性の魅力が口笛に宿る事になった。

(…4人に教えて…そうしたら最後の曲が理解出来るわ…)

 拓人の頭の中のパンドラがそう彼に囁く…。

 拓人は町を俳諧する…。

 新たなる犠牲者を見つけるために…。