「そのケーキ屋さんのある場所を教えてくれないかな?もちろん、君は来なくて良い。何処にあるという事だけ、教えて欲しい」
「…わかりました。えーとですね、四丁目のさかやさやかという酒屋さんの角を左に曲がって三つ目にある八百屋さんを左に行って突き当たりの交番を左に曲がって5つ目のタバコ屋さんを左に曲がって…」
治は場所を説明していく…。
やたらと長い道のりを治はすらすらと言っていく。
だが、勇治はその説明を全部聞き終わらない内に口を挟む。
「治君…そんな場所は無いんだよ…」
「え?でも…」
「聞いていると、君はずっと左に曲がるという言葉を続けているよ。普通、左にばかり曲がっていたら、ぐるぐる回ることになるよ」
「え…」
確かにそうだった。
治はずっと左にしか曲がるとしか説明していない。
勇治はそう言った。
すると…
「…おのれ退魔師めがぁ…」
どこかでうめき声の様な恨み言が聞こえた。
姉と呼んでいた女の声だった。
