それからも日を追うごとに母の様子はおかしくなっていった。

 だが、勇治と会ってから、治は姉の様子もおかしいことに気付き始めた。

 まだ、はっきりとは認識出来ないが、母の異常は何だか、薄っぺらいもののような気がして、姉の方が深い異常を抱えているような気がしていた。

 そう、異変は姉の誕生日から…。

 姉の誕生日が家族の異常事態の発端なのだから…。

 それから、友達と遊ぶ約束をしたら、帰りに姉が現れ、約束を断り、その後で、また、偶然を装った勇治と会って、姉が歯ぎしりをして治を連れて帰るという日が何日か続いた。

 何となく、姉が現れるタイミングが遅くなって行って、勇治が現れるタイミングが早くなっていっている気がした。

 そして、一週間後には勇治の方が早く現れ、勇治の【治】の字は治と同じ漢字だと言う話で盛り上がった。

 勇治は何をするでもなく、ただ、話し相手になってくれていた。

 最初は怪しい人だと思ったが、話していく内に、もやもやした気持ちが薄らいでいく感じがしていた。

 そして、遅れて現れた姉が…

「ちょっと、何をしているの?」

 と怒鳴りこんで来た。

「何って話をしているだけさ。ただの世間話だよ。君も加わるかい?」
「結構よ!行くわよ、ムーちゃん!」
「お姉ちゃん、この人は多分、大丈夫だよ。お母さんの事、相談してみようよ」
「知らない人としゃべっちゃだめっていつもいっているでしょ」
「勇治さんはいい人だよ」
「何でわかるのよ。そんなことしているとどこかに連れて行かれてしまうよ」
「違うよ、勇治さんはここで、お姉さんと待ち合わせしているだけだよ。待っている間に話をしているだけだもん」
「じゃあ、明日から、違う道で帰りなさい」
「何で?」
「良いから…寄り道はいけないって先生に言われているでしょ」
「別の道で帰るのは寄り道って言わないの?」
「口答えしないの!」

 姉ともめる治。