一馬はショートカットの女の子、豊彦はパーマをかけた女の子がパンドラだった。

 このパンドラはターゲットとなる少年の好みに合わせて姿形を変えられるらしい…。

 それに、分裂することも出来るらしい…。

 そして、ターゲットと微妙な距離を取り、視界に入るような位置を常に陣取る。

 それから、段々、ターゲットと一緒に居る時間が長くなり、少しずつ、少しずつ家の近くから出現する。

 そして、家の前まで来た時に名前を聞いていなければ自然に消える。

 だが、それまでに名前を聞いてしまうとあの世へと引きずりこまれてしまう…。

 そういう呪いだった。

 これまでに3人が助かっており、3人とも、その後、退魔師のメンバー入りをはたしていた。

 後、4人助ければ、この呪いは消える…。

 だが、次の犠牲者が出れば、呪いにリーチがかかってしまう…。

 だから、助けたかった…。

 でも、健闘虚しく、一馬はパンドラの餌食となった。

 玲於奈が一馬と打ち解けるより早く、彼は消えてしまった。

 一馬は思ったよりもずっと早く、名前を聞いたのだ。

 対策の取りようが無かった。

 早すぎたのだ。

 まだ、3分の1…家までの道のりは3分の2も残っていたのに…

 人は思った様には行動しない…。

 一馬はそのため予定より早く死期をむかえた。

 これは、パンドラの呪いではなく、一馬の行動によるものだった。

 だからと言って、一馬の行動が良くなかったと言えば、それは違う。

 一馬は勇気を出して話しかけたのだから…。

 たまたま、それは相手が悪かったというだけだった。

 一馬の行動は決して悪くはない…

 だからこそ、命を奪ったパンドラが許せなかった。